「独身の場合、法定相続人は誰になるの?」「法定相続人がいないときは、財産はどうなってしまうの?」
独身の方の中には、このような疑問を抱えている人も多いのではないでしょうか。
インターネットで「遺産相続」「法定相続人」などと検索しても、その多くは「既婚者向け」のものであるケースが多く、「配偶者」や「子ども」といった法定相続人が並んでいます。
SNSなどの情報も、独身に特化した事例は少ないですよね。
価値観やライフスタイルの多様化により、近年では独身の方が増加しているにも関わらず、情報が足りていないのも事実です。
自分に万が一のことがあった場合、財産はどうなってしまうのか?親や兄弟がいない場合には、誰が相続するのか気になりますよね。
そこで本記事では、独身の方の法定相続人や、法定相続人がいない場合はどうなるのか?独身の方が生前に行うべき対策について詳しく解説していきます。
独身者の遺産は誰が相続するの?
独身者が亡くなった場合、保有していた財産は基本的に「法定相続人」に相続されます。
独身者の「法定相続人」の優先順位は、下記の通りです。
- 1位:子ども(子どもが死亡しているときには、その子どもの子や孫(直系卑属)が相続する
- 2位:両親(両親が死亡しているときには、祖父母が相続する)
- 3位:兄弟や姉妹(兄弟姉妹が死亡しているときには、その子どもが相続する)
独身者には「配偶者」はいませんが、離婚や死別であるケースも少なくありません。その場合、子どもがいる方も多いはずです。
未婚で子どもがいない独身者は、両親の優先順位が1番となるでしょう。
子どもが相続人となるとき、親権は関係ありません。相手(例えば、離婚した妻)に親権がある場合でも、子どもが1番の法定相続人となるのです。
子どもや両親、兄弟姉妹が複数人いる際には、それぞれが平等に分けることとなります。(両親共に健在なら1/2ずつ、兄弟姉妹が3人いる場合は1/3ずつ)
ただし、優先順位が2番目の「両親」は、1位の「子ども」がいる場合には相続できません。同様に、3位の「兄弟姉妹」は「両親」が健在であれば相続人とならない点に注意しましょう。
法定相続人がいない場合|独身者の財産はどうなるの?
独身者が高齢であったり、一人っ子だったりすると、法定相続人がいないというケースも多くなります。
法定相続人がいない場合、財産はどうなってしまうのでしょうか?
- 相続財産清算人による財産の処分
- 特別縁故者へ相続財産分与
- 国庫への帰属
ひとつずつ確認していきましょう。
相続財産清算人による財産処分
法定相続人がいない場合は、相続財産清算人によって、財産処分が行われます。
そもそも「相続財産清算人」とは、相続人がいない場合に相続財産の管理を行い、最終的に「国庫へ帰属」させるための手続きを行う人のことです。2023年3月31日までは「相続財産管理人」と呼ばれていました。
家庭裁判所で選任され、裁判所へ申し立てを行うのは「被相続人の利害関係者」または「検察官」となります。「被相続人の利害関係者」には、下記のような人が挙げられます。
- 債権者(被相続人に対して金銭、または住居を貸していた人)
- 特定受遺者(遺言により、被相続人の財産を取得する人)
- 特別縁故者(被相続人に対して献身的な看護をしていた人や生計を共にしていた親戚・内縁の妻や夫など)
選任後は、相続人の申し出を確認するために、一定期間「官報」に公告が掲示されることとなります。その際に、相続人の申し出がなかった場合には「相続人不在」が確定し、債権者や特定受遺者などに財産が分けられる流れとなるのです。
特別縁故者へ相続財産分与
法定相続人不在が確定し、その後「3ヵ月以内」に特定縁故者からの申し出があった際には、相続財産清算人によって裁判所へ「財産分与」の申し立てが行われます。
家庭裁判所では、申し出を行った人物が「特別縁故者」であるかどうかが判断されることとなり、その権利が認められるかどうかの審判が遂行されるのです。
ここで特別縁故者と認められた場合であっても、財産を取得できるまでには、おおよそ1年程度の期間を要します。理由は、相続財産清算人の選任や広告掲示期間に時間が必要なのはもちろん、債権者および特定受遺者への遺産分配が優先されるためです。
国庫への帰属
債権者および特定受遺者や特別縁故者への財産分与が終わっても、遺産が残る可能性があります。
または、債権者等がいないケースもあるでしょう。
このような場合、相続財産清算人が遺産を国庫へ帰属させる手続きを行います。
独身者が生前にやっておくべき相続対策
自分にもしもの事があった場合、法定相続人や遠い親戚・親しかった友人などに、さまざまな手続きを行ってもらうことになります。
少しでも負担をかけないようにするためには、生前に「相続対策」しておくことがおすすめです。
生前にやっておくべき相続対策は、下記の2つです。
- 遺言書を作成する
- エンディングノートを書く
ひとつずつ解説していきます。
遺言書の作成
法定相続人がいない場合には「遺言書の作成」をしておくことが重要です。
特に、自分の財産を特定の人物に渡したいと考えている場合には、必ず遺言書を作成しておきましょう。
このとき、法定相続人以外の人物に財産を渡したい旨を記載しても問題ありません。
例えば、どうしても寄付したい団体があったり、生前お世話になった親しい方に財産を譲りたかったりする人もいるでしょう。団体への寄付を希望している場合には、あらかじめ「寄付を受け付けているかどうか」について確認しておくと安心です。
遺言書には、法的効力がありますので、自分の気持ちを率直に記すことができます。
独身者の終活についての詳細は、下記の記事にまとめています。ぜひ参考にしてください。
エンディングノートを書く
エンディングノートを活用するのも、相続対策に有効な方法のひとつです。
エンディングノートには、葬儀・お墓の希望や財産状況、訃報を知らせたい知人の連絡先などを記載しておきましょう。
遺言書と異なり、法的な効力はありませんが、自分の気持ちを気軽に伝える事ができる便利なアイテムです。
エンディングノートの書き方や記載内容については、下記の記事で詳しく解説しています。合わせてチェックしてみてくださいね。
まとめ|独身者は生前から相続対策しておこう
本記事では、独身者の遺産は誰が相続するのか?法定相続人がいない場合の財産の行方や、生前にやっておくべき相続対策について詳しく解説してきました。
独身者の法定相続人は、通常の遺産相続における優先順位と、ほぼ変わらないということがわかりましたね。
ただし、法定相続人がいないケースも珍しくありません。
生前に遺言書などを残して、自らの意思を書き記しておくことがおすすめです。
「相続って難しい」「遺言書の作成ってどうすればいいの?」このような不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
また、仕事も忙しく、時間を割くことができない人もいるでしょう。
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