「墓じまいを考えているけれど、予想外にお金がかかると知って躊躇している」「墓じまいに利用できる補助金や助成金はあるのだろうか?」
墓じまいを考え始めたときに、1番最初にぶつかるのが「費用の問題」という方も多いのではないでしょうか。
墓石の解体費用や行政手続き・新しい納骨先でかかる費用など、墓じまいにはまとまった費用が必要がかかってきます。
墓じまいの費用相場は「30万円~300万円」となっていますので、少しでも出費を抑えたいと考えるでしょう。
そんな時、補助金や助成金の制度を利用できれば安心です。
しかし2024年7月現在、補助金や助成金を実施している自治体はごくわずか。残念ながら「誰もが気軽に利用できる」というものではありません。
本記事では、墓じまいの補助金・助成金とはどのようなものか、墓じまいの補助金制度が実施されている自治体や費用を抑えるコツについて詳しく解説していきます。
墓じまいの費用について悩んでいる方の参考になると幸いです。
墓じまいの補助金・助成金とは?
近年、急速に増加してきた「墓じまい」ですが、まとまった費用が必要となりますので、補助金や助成金が利用できると助かりますよね。
ここからは、墓じまいの補助金・助成金について、4つの項目に分けて解説していきます。
- 墓じまいの補助金・助成金の目的
- 補助金の対象となる費用は?
- 申請方法
- 補助金を受け取るタイミング
順番に確認していきましょう。
墓じまいの補助金・助成金の目的
「墓じまい」が大きな注目を集めるきっかけとなったのは、やはり深刻な少子高齢化問題です。
子供が少ないということは、お墓を継いでくれる後継者がいないことにつながります。
近年、継承者不在のお墓が増加しており、無縁墓(無縁仏)が大きな社会問題となっているのが現状です。
「お墓を任せられる子供もいないが、墓じまいをする費用も準備できない」となってしまうと、問題はさらに悪化の一途をたどってしまいます。
放置され続けている墓石の撤去や、それに伴う霊園の負担軽減などを目的として、墓じまい補助金制度が作られたのです。
補助金の対象になる費用は?
墓じまい補助金の対象となる費用は、どのようなものなのでしょうか。
補助金の対象となる費用は「墓石の解体・撤去費用」となります。
お墓の大きさやお墓までの通路の広さ、依頼する石材店などによって費用は大きく異なりますが、おおよそ「20万円~50万円」となるのが一般的。
それぞれの自治体によって上限が定められていますが、10万円~20万円の助成金を受け取れるケースが多くなっています。
墓じまいでかかる費用の総額は、こちらの記事で詳しく解説しています。
申請方法
墓じまいの補助金に関する申請方法は、それぞれの自治体によって異なります。
ここで紹介する申請方法は、あくまでも一例ですのでご注意ください。
- 自身の自治体で、助成制度が実施されているかを確認
- 実施されている場合は、申請書を入手する
- 必要となる書類を集める
- 助成金交付申請書を提出する
- 助成金交付請求書を提出する
申請書を出す際に、石材店からの見積書の提出を促される場合もあります。
この場合、墓じまいを行うことは決まっていても、まだ依頼する石材店が決まっていないということも。
どの自治体でも、事前に見積書の提出を求められるというわけではありませんが、事前に準備しておくとスムーズです。
補助金の申請を行う際には、できるだけ早い段階で石材店を決定し、見積書を持参していくのが良いでしょう。
墓じまいの流れや手順・方法については、下記の記事で詳しく解説しています。
補助金を受け取るタイミング
ここで気になるのが、自治体から補助金を受け取れるタイミングですよね。
補助金は「後払い」が原則です。解体工事が終わってからの支払いとなります。
まずは、ご自身で墓石の解体費用を払わなければなりませんので注意しましょう。
墓じまいの補助金・助成金を実施している自治体
ここでは、墓じまいの補助金制度を実施している自治体について紹介していきます。
お墓を管轄している自治体が、助成制度を行っているのかについて調査したい場合は、補助金・助成金ポータルサイト「スマート補助金」で検索してみてくださいね。
また、助成制度は実施されていない場合でも、墓じまいについてのサポートを行っている自治体は日本各地にいくつかあり今後も増えていくでしょう。
千葉県市川市 市川市霊園一般墓地返還促進事業
千葉県市川市の市川市霊園一般墓地返還促進事業では、墓地使用量の返還を行っています。
使用許可の後、3年以内に更地として返還した際には、それまで納付した使用料の半分に当たる1/2を返還。また、それ以外の場合でも、納付した使用料の1/4を返還してもらえます。
また、原状回復費用の助成も。更地にする際の原状回復費用の一部、または全額を助成してもらえる制度もありますのでチェックしてみてください。
【原状回復費用の限度額】
第1種 | 普通墓地 | 4平方メートル | 240,000円 |
---|---|---|---|
芝生墓地 | 75,000円 | ||
第2種 | 普通墓地 | 6平方メートル | 290,000円 |
第3種 | 普通墓地 | 12平方メートル | 440,000円 |
第4種 | 普通墓地 | 2.5平方メートル | 210,000円 |
芝生墓地 | 75,000円 | ||
第5種 | 芝生墓地 | 1.5平方メートル | 75,000円 |
助成金の対象となる人は、霊園において使用許可を受けている方。且つ、生活の事情によってお墓の管理が難しくなった場合や継承者がいないことで、無縁仏になる可能性のある方となっています。
必要書類の中には、見積書や領収書はもちろん、工事前と工事後の写真が必要となりますので準備しておきましょう。
群馬県太田市 八王子山公園墓地墓石撤去費用助成金
墓じまいの補助金・助成金制度2つ目は、群馬県太田市にある「八王子山公園基地墓石撤去費用助成金」です。
助成金の対象となる方は、八王子山公園基地を利用しており返還届けを提出後、墓石の撤去が完了した人となります。
さらに、過去に管理料の滞納がないことも条件です。補助金の上限額は20万円となっていますので、参考にしてください。
千葉県浦安市 墓所返還者等支援事業
千葉県浦安市の墓所返還者等支援事業は「合祀室改葬等許可制度」「墓石撤去費等助成制度」のどちらも申請することができます。
墓石撤去費用等助成制度の上限額は150,000円となっており、墓石の撤去工事や原状回復費用に充てることが可能。
更地に戻した状態で返還した後に、補助金が交付される流れです。
補助金・助成金を使わず墓じまいの費用を抑えるコツ
補助金・助成金制度を利用できる自治体はまだ少なく、利用できない方が多いのも事実です。
今後、各自治体で墓じまいの補助金制度が増えていくことも予測できますが、助成金制度を使わずとも費用を抑えることはできるのでしょうか。
- 墓石解体・撤去工事の相見積もりを取ること
- 費用を抑えられる改葬先を選択
順番に見ていきましょう。
墓石の解体・撤去工事の相見積もりをとること
石材店によって、解体費用・撤去工事の費用は大きく異なります。
必ず相見積もりを取って、相場の範囲内で対応してくれる業者を選ぶようにしましょう。
できれば3社~4社の見積もりを取っておくと安心です。
ただし、費用の面だけで選んでしまうと、工事がずさんだったり見積以外の請求を加算されたりする恐れも。解体した墓石を、不法投棄したという事例もあります。
悪質な業者もありますので、信頼できる石材店を見極めなければなりません。
インターネットの口コミサイトやX(旧Twitter)などのSNSでは、実際に利用した人たちの感想が確認できます。
費用も安く、安心して任せられる石材店を見つけましょう。
費用を抑えられる改葬先を選択
墓じまいを行う上で、新しい納骨先の選択によって、費用の総額は大きく変わってきます。
改葬先の選択肢の中には「納骨堂」「合祀墓」「樹木葬」「散骨」「手元供養」などがあり、散骨や手元供養は管理費なども必要ないため、費用を抑えることが可能です。
合祀墓も、比較的費用が安いこともあって人気を集めています。
しかし、永代供養墓や樹木葬の場合、他の方のご遺骨と一緒に埋葬されることとなるため手元に戻ってくることはありません。
「やっぱり他の改葬先に移したい」という際にも、対応できなくなることを覚えておきましょう。
手元供養では、ご遺骨の一部のみを手元に置いておくことも可能。いつでも手を合わせられることや、故人を身近に感じられることもあり、近年増加している供養方法のひとつです。
まとめ|墓じまいの補助金を利用できる自治体は少ない
本記事では、墓じまいの補助金・助成金制度の目的や対象となる費用、申請方法や補助金を受け取れるタイミングなどについて詳しく解説してきました。
墓じまいにはまとまった費用が必要となるため、助成制度が実施されていると嬉しいですよね。
しかし現在は、ごくわずかな自治体でのみ実施されているのが現状です。
今回紹介した「墓じまいの費用を抑えるコツ」を参考にして、予算内で墓じまいを進めていきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです。