近年、断捨離のブームや終活との向き合い方が大きな話題となり「墓じまい」を行う人も増加しています。
少子化の影響もあり、子供に負担をかけたくないという思いや、あるいは時代の変化もあるかもしれません。
しかし、墓じまいは簡単にできるものではないため、慎重に検討する必要があります。
中には「墓じまいをしたことを、後悔している」という方も少なくないのです。
一度墓じまいをしてしまうと、後悔しても元には戻せません。
本記事では、墓じまいで後悔するポイントや事前の対策について詳しく解説していきます。
「墓じまいを検討しているけれど、後悔しそうで不安」「なんとなく決断できずにいる」という方の参考になると幸いです。
墓じまいで後悔する5つの理由
墓じまいで後悔してしまうポイントには、下記の5つが挙げられます。
事前に後悔するポイントを把握しておくことで、失敗する可能性も低くなり、スムーズな墓じまいを進めていくことができるはずです。
- 手続きが煩雑で時間がかかる
- 親族や関係者とのトラブルに発展する可能性もある
- まとまった費用がかかる
- 新しい納骨先の選択
- 寂しさを感じてしまう
順番に確認していきましょう。
手続きが煩雑で時間がかかる
墓じまいを後悔する理由の一つには、手続きが煩雑で、多くの時間を要することが挙げられます。
一言で「墓じまい」といっても、墓を撤去して終わりと言うわけではありません。
自治体や役所の手続きや土地の返還、書類の準備や新しい納骨先の決定など、さまざまな対応に追われることとなります。
もし、進めていく手順を間違えてしまうと、さらに多くの時間が必要となるでしょう。
時間がかかり大変だと感じた際には、専門家への相談もおすすめです。下記の記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
親族や関係者とのトラブルに発展する可能性も
墓じまいで後悔する理由の2つ目は、親族や関係者とのトラブルに発展するケースもあることです。
墓じまいは、自分1人の意思で決められるものではありません。
誰に相談することもなく、墓じまいを実行してしまうと、親族・兄弟間に大きな溝が生まれることも。
自らの意思だけで墓じまいを強行しようとすると、親族から費用の分担を断られるだけでなく、途中でキャンセルしなければならないほど関係が悪化する可能性もあります。
また、寺院とトラブルになるケースも少なくありません。寺院で墓じまいを行う際には「檀家をやめる」と判断されます。
寺院側にも生活があり、経済的に苦しくなるのは避けたいところ。
墓じまいを認めてもらえないだけでなく、高額な「離檀料金」を請求されたり、埋蔵証明書を発行してもらえなかったりする事例もありますので注意しなければなりません。
墓じまいのトラブルについては、下記の記事で詳しく解説しています。
まとまった費用がかかる
墓じまいには、まとまった費用がかかることも覚えておく必要があります。
事前に予算を設定し、あらかじめ、複数の石材店に見積もりを依頼するのがおすすめです。
また、お墓から予想以上のご遺骨が出てくるケースも。
墓じまいの後、ご遺骨は新しい納骨先と契約を結ぶこととなります。
把握していなかったご遺骨が出てきた場合には、再度、納骨先を契約しなければならないため予算オーバーとなってしまうのです。
墓じまいの補助金が利用できる場合もあります。下記の記事で詳しく解説していますので、チェックしてみてください。
新しい納骨先の選択
事前に新しい納骨先を決めておかなければ、後悔する可能性が高くなります。
例えば、下調べもせずに「合祀」を選択した場合。他の方のご遺骨と一緒に埋葬されることとなるため、後から「遺骨を取り出したい」と思っても不可能になってしまいます。
合祀墓は、もっとも費用を抑えることができる方法のため、遺骨を取り出せないことを知らずに決めてしまう場合もあるのです。
新しい納骨先を決める際「遺骨が残る方法」を選択すれば、再度「改葬(遺骨を別の場所に移すこと)」ができますが、合祀や散骨だと、改葬を行うことができません。
また、天気や時期を気にせずお墓参りに行けるよう「納骨堂」を選択したのに、ルールが厳しく後悔しているといったケースも。「花を供えてはいけない」「お線香をあげてはならない」といった決まりがある場所もあるため気をつける必要があります。
遺骨を納められる場所は数多くありますので、後悔しないものを選ぶようにしましょう。
寂しさを感じてしまう
納得して墓じまいを行ったものの、新しい納骨先によって心の拠り所がなくなり、寂しさを感じているという方も少なくありません。
ご遺骨を海や山などの自然環境に還す「散骨」を選んだ場合、手を合わせられる場所がなくなった気持ちになることがあります。
また、草花や木を墓標にする「樹木葬」は、お墓参りのイメージが薄れて寂しく思うケースも。
慣れ親しんだお墓ではなくなるため、心にぽっかりと穴が開いた気分になることもあるようです。
墓じまいで後悔しないための対策
墓じまいで後悔しないための対策は、下記の4つです。
- 自治体への連絡
- 親族や関係者と話し合いを重ねる
- 見積もりを取っておく
- 新しい納骨先を決定しておく
ひとつずつ解説していきます。
自治体への連絡
煩雑で時間のかかる手続きを、少しでもスムーズ且つ円滑に行うために、自治体への連絡を忘れてはいけません。
墓じまいには法律なども関わってくるため、手順や流れ・必要書類やルールなどを確認しておくことが重要です。
親族や関係者と話し合いを重ねる
墓じまいをするにあたって、親族や関係者との話し合いは必要不可欠です。
寺院や霊園には、墓じまいが決定してからではなく、検討を始めた段階で相談することが礼儀。トラブルになる可能性も低くなります。
また、墓じまいに関して「マイナスなイメージ」を持つ方がいるのも事実です。「ご先祖様をないがしろにする」「お墓参りを放棄したいのでは?」と捉えている場合も。
親族の中に反対する人がいれば、そのようなイメージを持っているのかもしれません。
しかし、墓じまいは「自分たちが、ご先祖様を供養しやすい方法に変えること」であったり「(高齢になって)供養が難しくなったときでも、しっかりと管理してもらえる場所に移す」といった意味があります。
大切に思っている気持ちがあるからこそ、墓じまいを考えているという想いを、話し合いを重ねて伝えていきましょう。
見積もりを取っておく
墓じまいを行う際には、事前に予算を決めて、複数の石材店から見積もりを取るようにしましょう。
見積もりの話し合いを行うときには、実際にお墓まで足を運んで現地を確認してもらうことがポイントです。
現地に出向かなければ、詳細な金額を出すことも難しくなるため「見積もりよりも高額だった!」ということにもなりかねません。
予算内で収めるために、しっかりと段取りをしましょう。
新しい納骨先を決定しておく
墓じまいで後悔しないために、新しい納骨先を決定しておくことは、非常に重要なポイントとなります。
家族や親族との話し合いはもちろんですが、やはり故人の意思も尊重する必要があるからです。
墓じまいを検討した際には、まず最初に話し合うべきポイントと言えるでしょう。
費用の安い「合祀」を選択した場合、他のご遺骨と埋葬されるため、二度と取り出すことはできません。
ご遺骨の管理方法はさまざまですので、本当に納得できる方法を見つけておくことが大切です。
まとめ|墓じまいで後悔しないためには事前の準備と話し合いが大切
本記事では、墓じまいで後悔してしまう主な理由や、後悔しないための効果的な対策について詳しく解説してきました。
近年、墓じまいをする人が増えていますが、中には「後悔している」という方も少なからず存在しています。
まとまった費用も必要となるだけでなく、手続きも煩雑で時間も必要です。ときには親族間トラブルに発展してしまうことも。
後悔しない「墓じまい」にするためには、事前に複数の見積もりを取ることやお墓の内部調査をすることが大切です。
また、親族との話し合いでは「なぜ、墓じまいを検討しているのか」という理由を、繰り返し伝えるようにしましょう。
「自分たちだけで墓じまいを進めていくことが難しい」「スムーズに墓じまいをするためには?」と思ったときには、専門家に依頼するのもおすすめです。
それぞれのご家庭に合った方法で、後悔しない墓じまいを進めてくださいね。