墓じまいの方法とは?手続きや流れ・必要書類について解説!

墓じまい 手続き 流れ 手順

「継承者となる子供が居ない」「お墓が遠くて、簡単に墓参りに行けなくなってしまった」など、さまざまな理由から「墓じまい」を検討する人も増えていますよね。

子供や孫の代に負担をかけたくないと考えている方も多くなっています。

しかし、いざ墓じまいを始めようとしても「何から始めたらよいかわからない」「何か必要な書類はあるのだろうか?」と、悩んでしまう人も多いかもしれません。

「墓じまい」とは、お墓を返還するだけでなく、親族との話し合いや行政手続き・ご遺骨を新しい納骨先に移すなど数多くの手続きが必要です。

そこで本記事では、墓じまいの概要や必要となる書類・手続きなどについて詳しく解説していきます。

自分の代でお墓を整理しようかお悩みの方の参考になると幸いです。

目次

墓じまいとは?

そもそも「墓じまい」とは、どのようなものなのでしょうか。

墓じまいは、現在のお墓からご遺骨を取り出し、墓石の解体・撤去工事をし更地にして返還することです。

取り出されたご遺骨を、新たな納骨先に移す(改葬)までがセットとなっています。

遺骨を勝手に取り出したり、独断で新しい納骨先に移動したりするのは法律違反です。

墓じまいには「改葬許可申請」と呼ばれる行政手続きが必要となりますので、法律やルールに従って順序良く行うようにしましょう。

「いつまでに墓じまいをすべきだろうか?」とお悩みの方も多いはずです。

タイミングは、それぞれのご家庭によって異なりますし、正解があるわけではありません。

しかし、検討を始めた場合は、元気なうちに取り掛かるのがポイント。

墓じまいには、時間も体力も必要となることを覚えておきましょう。

墓じまいで必要となる書類

墓じまいで必要となる書類は、下記の5点です。

  • 改葬許可申請書
  • 埋蔵証明書
  • 受入証明書
  • 改葬承諾書
  • 身分証明書の写し

順番に解説していきます。

改葬許可申請書

改葬許可申請書とは、墓じまいを行うにあたって、お墓を管轄している自治体から許可をもらうための書類です。

窓口で直接もらうこともできますし、ホームページからダウンロードできる場合も。

お墓に入っている人の情報・改葬を行う理由・新たな納骨先先の詳細などを記入します。

改葬許可申請書は故人の遺骨に1枚ずつ必要となりますので、お墓に複数のご遺骨がある場合は注意しましょう。(自治体によっては、複数のご遺骨があっても「1枚」で受理してくれることもあります)

埋蔵証明書

埋蔵証明書とは、現在使用しているお墓の中に、確かに「ご遺骨が埋蔵されています」ということを証明してくれる書類です。

現在のお墓を管理してもらっている「寺院」や「霊園」などから発行してもらいます。

この時注意しなければならないのが、埋蔵証明書をもらうタイミング。

長年お世話になった寺院などに相談することなく墓じまいを進めてしまうと、後々トラブルに発展するケースも。

突然「墓じまいをするので、埋蔵証明書を発行してください」と言われたらどうでしょうか。長きに亘ってお世話になった僧侶に対して失礼に当たります。

事前に寺院や霊園に、墓じまいを検討している事情を相談し、理解を得てから証明書を発行してもらうようにしましょう。

受入証明書

受入証明書とは、新しい納骨先の管理者に発行してもらう書類です。

自治体への「改葬許可申請」の際には、受入証明書も必要となりますので、必ず発行してもらうようにしましょう。

改葬承諾書

改葬承諾書とは、お墓の管理者(名義人)と改葬申請をする人が異なる際に発行してもらう書類です。

名義人と改葬承諾者が同一の場合は、必要ありません。発行が必要なときには「寺院」や「霊園」の管理者に依頼しましょう。

改葬承諾書は、各自治体の窓口やホームページから入手可能です。

身分証明書の写し

最後は、身分証明書の写しです。

本人確認を求められることも多いため、マイナンバーカードや運転免許証などの身分証明書は持ち歩くようにしましょう。また、同時に印鑑が必要となるケースもありますので、準備しておくと安心です。

墓じまいの流れ|7つの手続き・手順

それではここから、墓じまいの流れ「7つの手続き・手順」について、順番に紹介していきます。

墓じまいに必要な7つの手続き・手順
  • 親族・家族に相談して同意を得ること
  • 新しい納骨先の話し合い
  • 墓地管理者へ相談・連絡
  • 改葬許可申請書を入手する
  • 閉眼供養(魂抜き)
  • 墓石の解体工事
  • 新しい納骨先に移動し開眼供養を行う

ひとつずつ、見ていきましょう。

親族・家族に相談をし同意してもらう

墓じまいの検討を始めたときに、まず最初にするべきことは「親族や家族への相談」です。

自分では「将来のため」「家族や親族のため」と思っていても、皆それぞれにお墓への熱い思いがあるはず。

突然、墓じまいをすると言われて、戸惑う方もいるでしょう。

まずは、墓じまいを考えた理由について説明し、納得してもらえるまで話し合いを重ねることが大切です。

もし、理解を得られないからといって、独断で墓じまいを進めてはいけません。

思わぬトラブルに発展することも珍しくなく、墓じまいをきっかけに疎遠・絶縁状態になってしまう可能性も。

時間をかけて、理解を得られるよう努めましょう。

墓地管理者への相談と連絡

これまで長年お世話になってきた墓地管理者に、墓じまいについての相談をします。

この時注意したいのが、僧侶にとっては「檀家が減ってしまう」ということ。

墓じまいする人が増えたことによって、寺院や霊園の経営も厳しい状態が続き、収入減に直結してしまいます。

伝え方を間違えてしまうと、高額な離檀料を請求されたり、遺骨を渡してもらえなかったりするトラブルも。

これまでの感謝や敬意をこめて「墓じまいの相談」という形で伝えるのがおすすめです。

「高齢になって、墓参りが難しくなってきた」「継承者がいないので、このままでは無縁仏になってしまう」など、しっかりと事情を説明して、理解してもらえるようにしましょう。

新しい納骨先の話し合い

家族や親族・墓地管理者の了承を得られた後は、新しい納骨先についての検討を始めましょう。

新しい納骨先は、主に「合祀墓(永代供養墓)」「納骨堂」「樹木葬」「散骨」「手元供養」などがあり、それぞれ費用や特徴も異なります。

もし、この先も「改葬」する可能性がある場合には「納骨堂」または「手元供養」を選択。合祀や樹木葬、散骨の場合、ご遺骨を返却してもらうことができません。

また、費用を最小限に抑えたい時には散骨や手元供養がおすすめです。他の供養方法と違って、管理費や維持費が必要ありません。

それぞれのご家庭に合った納骨先を選ぶようにしましょう。

改葬許可申請書を入手する

続いては、行政手続きです。ここで、お墓のある自治体に申請を行い「改葬許可申請書」を入手します。

入手方法は

  • 自治体の窓口で直接受け取る
  • ホームページからダウンロードする
  • 郵送で取り寄せることも可能

入手できたら「埋葬証明書」と「受入証明書」を添付して、申請を行います。

無事に申請が受理された場合「改葬許可証」が発行されるという流れです。

閉眼供養(魂抜き)

故人の遺骨の取り出しを行う前には「閉眼供養(魂抜き)」が行われます。

僧侶に読経してもらい、お墓で眠る故人の魂を一度抜いてもらう儀式です。

事前に、僧侶に依頼しておく必要がありますので注意しましょう。

墓石の解体工事

閉眼供養が無事に執り行われたら、石材店に「墓石の解体工事」をしてもらうこととなります。

故人のご遺骨を取り出し、墓石の解体・撤去作業が行われます。

霊園によっては、依頼する石材店が指定されている場合もありますので、事前に確認を行いましょう。

新しい納骨先へ移動し開眼供養を行う

取り出した遺骨を、新たな納骨先へと移します。

このとき、新しい墓地管理者に「改葬許可証」を提出。

納骨を行う際には「開眼供養」を行うのが一般的です。

墓じまいを行うメリット

墓じまいの流れや必要な手続きがわかったところで、墓じまいを行うメリットについて解説していきます。

墓じまいを行うメリット
  • 精神的な負担から解放される
  • 費用面での負担が減少する
  • お墓参りがしやすくなる

ひとつずつ解説していきます。

精神的負担から解放される

メリットの1つ目は、精神的負担から解放される点です。

歳を取るごとに「お墓の管理ができなくなってしまったらどうしよう」「無縁仏になってしまう可能性がある」といった不安を抱えている方も多いですよね。

遠方に住んでいる場合や体調を崩してしまった方は、思うようにお墓の手入れができないことも多く、常にお墓のことが気になってしまいます。

ご先祖さまに申し訳ないという気持ちが大きく、精神的負担になっている人も多いでしょう。

しかし、墓じまいを行うことで、そのようなストレスからも解消されます。

費用面で負担が減少する

2つ目のメリットは、費用面での負担が減少すること。

お墓を持ち続けるということは「維持費・管理費」を払い続けるということです。

もちろん、管理費や使用料だけでなく、檀家料やお布施などの出費も大きかったでしょう。

墓じまいを行うことで、費用の負担が軽減されます。

お墓参りがしやすくなる

3つ目のメリットは、お墓参りがしやすくなることです。

新しい納骨先を「自宅から近い場所」にすることで、いつでも手を合わせに行けるというのが嬉しいですね。

また、納骨堂の場合は、天気や季節に関係なくお参りができます。納骨堂は、アクセスしやすい場所にあることが多いので、高齢の方でも通いやすいのが魅力です。

墓じまいを行うデメリット

墓じまいは、メリットだけではありません。ここからは、デメリットについて確認していきましょう。

墓じまいを行うデメリット
  • まとまった費用を準備しなければならない
  • 親族間トラブルに発展するケースもある
  • 離檀料をめぐって揉める可能性がある

順番に見ていきましょう。

まとまった費用を準備しなければならない

デメリットとして、まとまった費用を準備しなければならないことが挙げられます。

墓じまいでは、墓石の撤去や行政手続きでかかる費用・新しい納骨先での費用など、まとまった金額を用意しなければなりません。

「墓じまいしたいけれど、費用の面で躊躇している」という方も多いでしょう。

墓じまいの詳しい費用に関しては、下記の記事を参考にしてみてください。

親族間トラブルに発展するケースもある

墓じまいでは、親族間のトラブルに発展してしまうことも珍しくありません。

意見の相違や費用の分担をめぐって、思わぬ事態に陥ってしまうことも。

中には「絶縁状態になった」「墓じまいの話し合い以来、疎遠になった」というケースもあります。

事前に何度も話し合いの場を持つことで、トラブルを回避できるでしょう。

トラブルの対処法は、下記の記事で詳しく解説しています。

離檀料をめぐって揉める可能性がある

墓じまいで注意しておきたいデメリットとして、離檀料のトラブルがあります。

今までお世話になった寺院に対して、離檀料を支払うのが一般的ですが、その金額を巡って大きなトラブルになる可能性も。

檀家が減ってしまうことを快く思わない寺院から、法外な離檀料を請求される恐れもあるので注意しなければなりません。

墓じまいを検討した際に、しっかりと感謝の気持ちや経緯を伝えて、未然にトラブルを防ぎましょう。

まとめ|墓じまいの手続きは余裕を持って!手順をしっかり把握しよう

本記事では、墓じまいの流れや手続き、必要書類などについて詳しく解説してきました。

墓じまいを行う際には、行政手続きも必要になりますので、時間に余裕をもってしっかりと準備しなければなりません。

また、親族間での話し合いや、お世話になった寺院への相談も重要です。

それぞれのご家庭に合った方法を見つけて、スムーズに墓じまいを進めていきましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです。

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