「不動産を相続することになったけれど、相続登記は自分でできる?」
「出費を抑えたいので、自分で相続登記をする予定だけど、かなり難しそう」
親などが亡くなった場合、故人が所有していた不動産(建物や土地など)を相続することがあります。
不動産の名義は、亡くなった方であったため、相続するためには必ず「相続登記」で名義を変更しなければなりません。
しかし必要となる書類も多く、手続きも複雑なイメージがあるため、自分で行うことは不可能だと思っている方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、相続登記は自分でできます。
ただし、司法書士に依頼した方が良いケースがあるのも事実です。
そこで本記事では、相続登記を自分でできるケースや司法書士に依頼すべきケース、自分で行う際の手順について詳しく解説していきます。
自分で相続登記できるケース
ここからは、自分で相続登記できるケースについて紹介します。
自分で相続登記するためには、下記の2つの条件が揃っていると安心です。
- 平日に時間を作ることができる
- 相続関係がシンプルであること
相続登記の内容もポイントになりますが、時間的余裕があることも条件のひとつです。
相続登記を自分で行うためには、数多くの手続きがあり、長期戦となるケースが多くなります。特に、平日しか行うことのできないこともあるため、時間に余裕がなければ挫折する可能性も。
必要となる書類も多岐にわたるため、書類整理だけでも大きな負担となります。
法務局や市役所に足を運ぶことになるため、平日に時間を作れない場合は難しくなるでしょう。
また、書類に不備があったり必要書類が不足していたりする場合には、電話で確認されることになります。
多少の専門知識を持っていなければ、スムーズに進められないかもしれません。
相続関係がシンプルであることも重要です。
相続人が1人であるケースや、配偶者と子供のみといったシンプルな形であれば、自分で相続登記を行うことも可能。
必要となる書類も、そこまで多くなりませんので、マニュアル通りに進めていくことができるでしょう。
「やっぱり相続って、色々複雑で難しい」「必要書類も多いし、時間もないから不安…」と思った方も多いのではないでしょうか。
故人が亡くなった悲しみが大きい中、さまざまな手続きをこなしていくのは、精神的にも難しいかもしれません。
また、仕事も忙しく、平日に時間を作れない方もいるでしょう。
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相続登記を司法書士に依頼すべきケース
その一方で、相続登記を司法書士に依頼すべきケースとは、どのような場合なのでしょうか。
司法書士に依頼した方が良いケースは、下記の5つです。
- 相続人同士の仲が悪い
- 相続登記をしていなかった不動産がある
- 急いで相続登記を終わらせたい
- 相続する不動産が遠方にある
- 相続関係が複雑な場合
順番に確認していきましょう。
相続人同士の仲が悪い
相続人同士の仲が悪い場合は、予期せぬトラブルへと発展する可能性もあるため、司法書士に依頼するのがおすすめです。
相続には利害関係も影響してくるため、仲が悪いと協力して進めていくのが難しいでしょう。
必要書類の中には、全員の捺印が必須となる「遺産分割協議書」もあるため、連携が取れていない場合には一向に手続きが進まない可能性もあります。
相続登記をしていなかった不動産がある
以前まで「相続登記」は義務化されていませんでした。
相続登記を行わなくても、特に問題はなかったのです。
したがって、いざ相続登記をしようとした際に、対象の相続物件が被相続人の名義ではないケースも少なくありません。
何十年も昔に亡くなった祖父の名前のまま、変更されていないことも。
この場合、必要書類が多くなるだけでなく、手続きも非常に煩雑になります。
急いで相続登記を終わらせたい
相続登記を急いでいる場合には、司法書士に依頼するのが良いでしょう。
不動産会社からリミットを設けられているときや、早急に納税費用を工面したいときなどには、専門家に頼むのがおすすめ。
自分で行うと、書類不備があったり、そもそも必要書類が足りないケースもあるかもしれません。
スムーズに手続きを終わらせなければならない際には、司法書士に依頼すると安心です。
相続する不動産が遠方にある
相続する不動産が遠方にある場合、自分で手続きすると余計に費用がかさむ恐れもあり、負担が大きくなります。
手続きを行う法務局は、不動産の所在地でなければなりません。
新幹線や飛行機などを利用しなければならない場所だと、交通費や宿泊費用だけでも高額になってしまいます。
オンライン申請も可能ですが、そのためには「専用システム」が必要となってしまうのです。
自分で相続登記を行う場合、一度で申請をクリアできることは稀であり、何度もやり取りすることになります。
遠方に不動産があるときには、司法書士へ依頼すると負担を軽減できるでしょう。
相続関係が複雑な場合
相続関係が複雑な場合も注意が必要です。
例えば、故人が再婚していて「異母兄弟」などがいることも。それだけでなく、認知だけしている子供がいる可能性もあります。
このように、相続関係が複雑なときには、司法書士に任せた方がスムーズです。
相続登記を自分で行う手順
相続登記を自分で行うためには、どのような手順で進めていけば良いのでしょうか。
- 相続物件の特定
- 必要書類を準備する
- 申請書を作成する
- 法務局に申請
- 相続登記完了の書類を受け取る
ひとつずつ解説していきます。
相続物件の特定
まず初めに、相続物件の特定です。
被相続人(亡くなった方)が所有していた「土地」や「建物」などの不動産物件を特定します。
相続物件を特定するために必要な書類は、下記の4つです。
- 登記事項証明書
- 登記済権利証または登記識別情報
- 固定資産税納税通知書
- 土地の名寄帳
この時、戸建て物件の際には「土地」と「建物」が別々となるため、登記事項証明書はそれぞれ取り寄せなければなりません。
必要書類を準備する
続いて、必要書類の準備をします。
被相続人に必要な書類はもちろん、相続人全員分の書類も合わせて用意しなければなりません。
相続人が多い場合には、必要書類だけでもかなりの量になります。
相続登記の必要書類の詳細は、下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
申請書を作成する
必要となる書類の準備ができたら、申請書の作成へと移ります。
申請書には細かいルールが定められており、ミスや記入漏れのないよう、細心の注意を払わなければなりません。
提出時にスタッフがチェックしてくれるといったこともないため、万が一不備が発覚した際には、ゼロからやり直しを求められる可能性もあります。
法務局に申請
続いては、法務局への申請です。
申請書類の提出方法には、下記の3つがあります。
- 直接法務局まで足を運び、窓口で提出する
- 必要書類をまとめて郵送する
- インターネットでオンライン申請を行う
多くの場合「窓口申請」または「郵送申請」となるのが一般的です。
インターネットからのオンライン申請には、専用システム(電子証明書や電子署名)が必須となるため、利用できる方は限られてしまうでしょう。
相続登記完了の書類を受け取る
法務局に提出した申請書類に不備がなかった場合には、約1~2週間程度で登録完了の通知を受け取ることができます。これが「登記識別情報通知」です。
登記識別情報通知とは「権利書」と呼ばれるもので、相続登記においてもっとも重要な書類となるため、大切に保管するようにしましょう。
ただし、自分で申請を行う場合、1度で申請が通ることは難しいかもしれません。
書類が足りなかったり、記載事項に不備があったりするケースも多いため、何度かやり取りしなければならない事態を想定しておくと安心です。
相続登記を自分で行う場合の費用は?
相続登記を自分で行う際の費用には、下記の2つがあります。
- 必要書類の発行手数料
- 登録免許税
必要書類の発行手数料は、相続人の数や相続登記の内容によって異なりますが、おおよそ「5,000円~10,000円」前後です。
また、登録免許税は、相続する不動産の「固定資産税評価額」によって大きく変わってきます。
登録免許税の求め方は、次の通りです。
不動産の固定資産税評価額×税率0.4%=登録免許税
不動産の固定資産税評価額が3,000万円の場合、税率の0.4をかけて「12万円」が登録免許税となります。
司法書士に依頼する場合の相場は10万円程度となることも、合わせて覚えておきましょう。
一般的な相続登記で必要となる費用の詳細は、下記の記事でまとめています。ぜひチェックしてみてくださいね。
まとめ|相続登記は自分では難しいケースもあるので注意しよう
本記事では、相続登記は自分でできるのか?自分でできるケースと司法書士に依頼すべきケース、自分で行う際の手順や費用について詳しく解説してきました。
相続登記は、相続関係がシンプルで、時間的余裕がある場合は自分でできることがわかりましたね。特に、平日に行わなければならない作業も多いため、比較的自由に時間を使える方であれば対応できるでしょう。
しかし中には、司法書士に依頼した方が良いケースもあります。
相続人同士の仲が悪い場合や相続人が多く手続きが複雑な場合、相続物件が遠方にあるときなどには、最初から司法書士に依頼するのがおすすめと言えます。
自分で手続する際には、時間がかかることを理解した上で、根気強く進めていくことがポイントです。
費用を抑えたい方は、この記事を参考にして、相続登記を自分で進めてみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです。