「遺産分割協議書を作成したけれど、どこに提出すれば良いの?」「提出先が複数あるって本当?」
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
遺産相続で遺産分割協議書を作成した場合、遺産相続の内容によって提出先が異なります。
例えば、相続登記(不動産の名義変更)であれば「法務局」、預貯金の解約などについては「金融機関」に提出しなければなりません。
また、遺産分割協議書を提出しなくて良いケースについても気になるところですよね。
そこで本記事では、ケース別「遺産分割協議書の提出先」や提出不要な場合について詳しく解説していきます。
【ケース別】遺産分割協議書の提出先
遺産分割協議書を提出する必要がある場面は、大きく分けると下記の5つです。
- 相続登記(不動産の名義変更)
- 相続税の申告
- 預貯金の解約
- 株または投資信託の相続
- 自動車の名義変更
遺産分割協議書の詳細について、さらに詳しい内容が知りたい方は、下記のリンクからチェックしてみてくださいね。
【ケース別:遺産分割協議書の提出先】
手続きの詳細 | 提出先 | |
---|---|---|
相続登記(不動産の名義変更) | 被相続人の遺産に不動産があった場合に、対象の不動産の名義を変更する | 法務局 |
相続税の申告 | 相続税を納める手続き | 税務署 |
預貯金の解約 | 被相続人名義の口座を解約して、入っている預貯金を受け取る手続き | 金融機関 |
株または投資信託の相続 | 被相続人が所有していた株や投資信託を、新たな所有者の口座に移管する手続き | 証券会社 |
自動車の名義変更 | 被相続人が所有していた車の名義を新所有者に変更する手続き | 陸運局 |
ひとつずつ確認していきましょう。
相続登記(不動産の名義変更)
相続登記(不動産の名義変更)の際には、遺産分割協議書を法務局へ提出します。
この時、どこの法務局でも良いというわけではありません。
被相続人(亡くなった方)が保有していた建物や土地の所在地を管轄する法務局に出向く必要があります。
法務局への提出は「不動産の名義変更」と覚えておけば良いでしょう。
相続税の申告
相続税の申告をしなければならないケースもあるはずです。
相続税を申告する際には、被相続人(亡くなった方)が亡くなったときの所在地を管轄している税務署に、遺産分割協議書を提出しなければなりません。
因みに、相続税は、基礎控除を超えた場合に課税されることとなります。
3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)=相続税の基礎控除
預貯金の解約
預貯金の解約および払い戻しの提出先は、金融機関となります。
定期預金などの名義変更にも、遺産分割協議書が必要となるため覚えておきましょう。
注意すべきポイントは、口座が複数の金融機関にある場合です。複数の金融機関に口座を保有していたときには、それぞれに遺産分割協議書を提出しなければなりません。
しかし、金融機関では、コピーを取って原本を返却してくれるため何枚も作成する必要はないでしょう。
ただし、預貯金仮払い制度を利用する際には、遺産分割協議書が必要ないことを把握しておくと安心です。
株または投資信託の相続
株や投資信託の相続では、証券会社に遺産分割協議書を提出します。
上場している株式については、相続人名義の証券口座へと移管手続きが行われることとなるため、あらかじめ対象の証券口座を開設しておかなければなりません。
また、非上場株式の相続は、手続きや計算方法が非常に複雑です。この場合、専門家に依頼するのがスムーズでしょう。
自動車の名義変更
自動車の名義変更を行う場合には、陸運局や運輸支局へ遺産分割協議書を提出します。
このとき、相続する自動車の査定額が「100万円以下」であることを証明できるものを持参できれば、運輸局指定の「遺産分割協議成立申立書」が使えるため「署名」「実印の押印」のみで作成可能。
名義変更を行わなければ、廃車にすることも売却することもできませんので、できるだけ早めに対応すると良いでしょう。
遺産分割協議書を提出不要な場合
遺産分割協議書の提出が不要となるケースもあります。
- 相続人が1人の場合
- 他の相続人全員が「相続放棄」した場合
- 遺言書の内容に沿って遺産分割する場合
- 法定相続分通りに相続を行う場合
相続人が1人の場合には「遺産分割」が行われず、被相続人の遺産をすべて相続できるため、遺産分割協議書は不要です。
また、他の相続人全員が「相続放棄」したときには、遺産分割協議書の代わりに「相続放棄受理証明書」が必要となります。
被相続人が遺言書を作成していた場合には、基本的に遺言書の内容に沿って遺産が分配されるため、遺産分割協議を行う必要もなく遺産分割協議書の作成も行いません。
トラブルや揉め事に発展することなく、法定相続分通りに遺産分割を行う際も、提出は不要となるので安心です。
遺産分割協議書を提出する際の注意点
遺産分割協議書を提出する際に、注意しておきたいポイントについて確認しておくと安心です。
- 事前に提出期限をチェック
- 遺産分割協議書は「相続人の人数分」必要となる
- 一般的に「コピー」ではなく「原本」を提出する
主な注意点は、上記の3つとなります。
提出期限で1番気をつけたいのが「相続税」です。相続税の申告に関しては「相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内」と定められているため、早めの対応が必須。
万が一期限を過ぎてしまうと「延滞税」や「無申告加算税」が発生するだけでなく、所有する財産が差し押さえられたり、控除や特例制度がりようできなくなったりするため注意が必要です。
2つ目は「遺産分割協議書は、相続人の人数分作成すること」です。相続人それぞれが各自で手続きを行うこととなりますので、必ず人数分作成するようにしましょう。
3つ目は、原則として「原本」が必要になること。どの提出先においても、原本の提出が求められます。
提出先では基本的にコピーを取って、原本を返却してもらえるのが一般的。相続人それぞれが1通ずつ遺産分割協議書を作成し、スムーズに手続きを進められるように準備しておくと安心です。
まとめ|相続手続きの内容によって遺産分割協議書の提出先は異なる
本記事では、遺産分割協議書の提出先5選や提出不要となるケース、提出時の注意点などについて詳しく解説してきました。
遺産分割協議書の提出先は、相続手続きの内容によって、それぞれ異なる場所に提出しなければならないことがわかりましたね。
また、相続人が1人の場合や、他の相続人が全員「相続放棄」した際には、提出不要となる点についても覚えておきましょう。
「相続に関する手続きは、専門知識が必要で難しい」「何から手を付けたら良いのか相談したい」と思った方も多いのではないでしょうか。
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