遺族年金とは?種類や受給要件・計算方法についてわかりやすく解説!

遺族年金 受給要件 わかりやすく

一言で「年金」といっても、さまざまな種類がありますよね。

中でもよく耳にする「遺族年金」とは、どのようなものなのでしょうか。

そもそも「公的年金」は、老齢年金・遺族年金・障害年金の3つに分かれています。遺族年金とは、被保険者が亡くなった際に、遺族に対して支払われる公的年金のひとつです。

「遺族年金をもらうためには、どんな要件があるの?」「いくらくらい貰える?」といった疑問をお持ちの方も多いですよね。

そこで本記事では、遺族年金とはどのようなものなのか?受給するための要件や計算方法、受け取る際の注意点について詳しく解説していきます。

目次

そもそも「遺族年金」とは?

そもそも「遺族年金」とは、国民年金または厚生年金の「被保険者」が亡くなった場合、遺族に対して支払われる年金のことです。

亡くなった方によって生計を維持していた「配偶者」または「子ども」に支給されます。

遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があります。

それぞれの詳細について確認していきましょう。

遺族基礎年金遺族厚生年金
受給対象者子どもがいる配偶者
子ども
子どもがいる配偶者
子ども
子どもがいない配偶者

父母
受け取れる年金額定額老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4
制度や加算寡婦年金
死亡一時金
中高齢寡婦加算

遺族基礎年金の支給目的は、18歳までの子どもに対する「子育て支援」の一環です。亡くなった人の「配偶者」と「子ども」が受給でき、支給額は子どもが何人いるかによって異なります。

一方、遺族厚生年金とは、老後生活や若くして配偶者が亡くなってしまったときの生活支援として支給されるのがポイント。

配偶者や子どもだけでなく、被保険者の両親や孫も受給者に該当するのが特徴です。(優先順位の高い人が受給できる)

遺族厚生年金の計算方法につきましては、後の見出しで詳しく解説していきます。

遺族年金を受給するための要件

遺族年金は、被保険者が亡くなった場合、誰でも受給できるものなのでしょうか?また、受給できる場合は、どのような手続きをすべきかについても気になるところです。

共通の要件として

  • 生計を同じくしている
  • 年収が850万円未満である

ことが挙げられます。

ここからは、遺族基礎年金・遺族厚生年金それぞれの受給要件や、手続き方法について解説していきます。

遺族基礎年金の受給要件

遺族基礎年金とは、自営業やフリーランスの方に該当するものです。遺族基礎年金の受給要件には、下記の4つがあります。4つのうち、どれか1つでも当てはまっていれば、受給可能です。

  • 国民年金の被保険者である期間に死亡した場合
  • 国民年金の被保険者だった60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を有していたときに死亡した場合
  • 老齢基礎年金の受給権者が死亡したとき
  • 老齢基礎年金の受給資格を満たしている方が死亡した場合

また、遺族基礎年金の手続きには、下記の書類が必要となります。

遺族年金を受給する際の必要書類
  • 年金請求書
  • 請求する人の年金手帳・基礎年金番号通知書・年金証書
  • 請求者名義のキャッシュカードや預金通帳
  • 戸籍謄本
  • 戸籍抄本
  • 戸籍の記載事項証明書
  • 世帯全員の住民票
  • 亡くなられた方の住民票の除票
  • 死亡診断書のコピー

申請は、お住まいの市区町村の役場です。ただし、亡くなられた日が「国民年金第3号被保険者期間中」の場合に限り、年金事務所および年金相談センターとなるため注意しなければなりません。

また「遺族基礎年金」と「老齢基礎年金」は、同時に受け取ることができない点にも気をつけましょう。どちらも受給できるタイミングであれば、片方を選択する必要があります。

どちらが効果的なのかについては、ライフステージによって異なるため、慎重に選ぶことが大切です。

遺族厚生年金の受給要件

遺族厚生年金とは、公務員や会社員の方に該当します。

受給できる要件は、下記の5つです。遺族基礎年金と同様に、1つでも当てはまっていれば受給資格を得られますので、チェックしてみましょう。

  • 厚生年金保険の被保険者である期間に亡くなられた場合
  • 厚生年金の被保険者期間に、初診日がある「病気」または「怪我」が原因で、初診日から5年以内に亡くなられたとき
  • 1級および2級の障害厚生年金を受給している方が亡くなられたとき
  • 老齢厚生年金の受給権者であった人が亡くなられたとき
  • 老齢厚生年金の受給資格を満たしている人が亡くなられたとき

遺族厚生年金をもらえる人には、優先順位があるため気をつけなければなりません。

優先順位は下記の通りで、遺族基礎年金も併用できる点がポイントです。

優先順位遺族厚生年金を受給できる人
1位子どもがいる配偶者
2位子ども(18歳未満、または20歳未満であり「障害年金」の障害等級1級および2級である子ども)
3位子どものいない配偶者
4位父母
5位孫(18歳未満、または20歳未満であり「障害年金」の障害等級1級および2級である孫に限る)

手続きに必要となる書類は、遺族基礎年金と同じです。提出先は、お住まいの近くにある「年金相談センター」または「年金事務所」となります。

遺族年金の計算方法

遺族厚生年金の年間支給額は、亡くなった方が「厚生年金に何年加入していたか」「給与はいくらだったのか」などによって異なります。

遺族厚生年金の計算方法は、下記の通りです。

亡くなられた人の老齢厚生年金の報酬比例部分×3/4

上記からもわかるように、亡くなられた方の給与がいくらだったのかによって、遺族厚生年金の受給額は大きく変わってきます。亡くなられた方の給与が高かった場合、遺族厚生年金で受給できる金額も大きくなるのです。

【遺族厚生年金の概算支給額|早見表】

平均月額による支給額の目安遺族厚生年金遺族基礎年金+遺族厚生年金
妻のみ妻+子ども1人妻+子ども2人妻+子ども3人
20万円27,076円/月27,076円/月111,476円/月130,334円/月136,618円/月
30万円40,614円/月40,614円/月125,014円/月143,872円/月150,156円/月
40万円54,152円/月54,152円/月138,552円/月157,410円/月163,693円/月
50万円67,690円/月67,690円/月152,090円/月170,948円/月177,231円/月

上記はあくまでも「目安」となっています。報酬比例部分の計算は非常に複雑となっていますので、詳しくは「ねんきん定期便」または「ねんきんネット」などで確認するようにしましょう。

加入期間や、現時点での年金額が記載されているはずです。

「年金額が少ないので不安」「老後資金をどうやって貯めたら良いのかわからない」とお悩みの方も多いですよね。老後資金のおすすめの貯め方や、困ったときに利用できる制度については、下記の記事で詳しく解説しています。ぜひ合わせてチェックしてみてください。

遺族年金を受け取る際の注意点とは?

遺族年金は「遺族であれば、誰でももらえる」というわけではないため、注意しなければなりません。

遺族であっても、受給対象外となるケースも存在しています。受給対象外となるのは、下記のような場合です。

遺族年金が受け取れないのはどんなケース?
  • 受給者が死亡したとき
  • 受給者が、直系尊属または直系姻族以外の方の養子になったとき
  • 受給者が結婚したとき
  • 受給者が離縁し、被保険者との親族関係がなくなったとき

それだけでなく、保険料を納めていなかったり、年収が850万円以上だったりした場合も、受け取ることはできません。

また、65歳以上の人も注意が必要です。基本的に、年金受給は「一人一年金」と定められています。

65歳以上の場合、老齢基礎年金の受給が始まることになるため、どちらか選択しなくては?と考えてしまいますよね。

しかし、老齢基礎年金と遺族厚生年金は、同時(併用して)に受給可能です。ただし、老齢厚生年金と遺族厚生年金は、どちらか一方だけ受け取ることになります。

このとき、遺族厚生年金の支給額が老齢厚生年金の支給額よりも多い場合には、その差額分を受け取れるのがポイント。必ずチェックするようにしましょう。

年金の受給年齢についての詳細は、下記の記事でまとめています。ぜひ参考にしてみてくださいね。

まとめ|遺族年金の受給要件をチェックしスムーズに手続きしよう

本記事では、遺族年金とはどのようなものなのか?遺族年金の種類(遺族基礎年金・遺族厚生年金)や受給要件、計算方法や受給する際の注意点について詳しく解説してきました。

遺族年金とは、被保険者が亡くなったときに、遺族に対して支払われる年金であることがわかりましたね。一言で「遺族年金」といっても、遺族基礎年金と遺族厚生年金に分かれています。

遺族基礎年金は、主に自営業やフリーランスの方が該当し、遺族厚生年金は公務員や会社員の方に支給されるものです。

遺族厚生年金がいくら受け取れるのかについては、保険の加入期間や給与額によって大きく異なります。早見表はあくまでも「目安」となっていますので、正確な金額が知りたい場合には「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を活用するようにしましょう。

相談や手続きは、年金相談センターや年金事務所で対応してもらえますので、受給要件をチェックした際にはスムーズに申請を行うのがおすすめです。

最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです。

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