「老後資金がないので、貯め方を知りたい」「退職金がないので、老後が不安」
このようなお悩みをお持ちの方も多いはずです。
老後に必要といわれる資金は、年々増加しています。2019年には「老後で2000万円問題」が話題となりましたが、2024年現在では「夫婦2人で5,000万円必要」といった声も。
老後の生活を左右する「退職金」がないという企業も多く、まとまった老後資金を確保するのは難しいのが現状です。
そこで本記事では、退職金がない企業の割合や退職金がない場合の老後資金の貯め方・利用できる制度などについて詳しく解説していきます。
退職金がない企業の割合
退職金制度のない企業は、日本でどれくらいあるのでしょうか。
従業員の人数 | 退職金制度あり |
---|---|
1,000人以上 | 90.1% |
300人から900人 | 88.8% |
100人から299人 | 84.7% |
30人から99人 | 70.1% |
全企業の平均 | 74.9% |
令和5年度厚生労働省による「就労条件労働調査」によると、退職金制度のある企業は、全体の74.9%です。(30人以上の従業員がいる会社)したがって、退職金制度のない企業は25.1%となり、おおよそ「4人に1人」の割合で退職金がもらえないという計算になります。
しかしこれは、あくまでも「平均」であり、企業の規模によって大きく異なるのが現状です。
大企業ほど退職金制度は手厚くなっており、中小企業だけで見てみるとでは、退職金なしの割合が「35%」近くもあるという統計もあります。
退職金制度がない場合でも、違法ではありませんので、入社時にしっかりと確認しておくことが大切です。
退職金がない場合|老後資金の貯め方
退職金がない場合、老後資金はどのように貯めたら良いのでしょうか。
平成30年の「退職金の平均額」は、約1,788万円。1997年の調査結果と比べると、1,000万円以上下がっています。
しかし、下がっているとはいえ、約2,000万円近くの老後資金があるかないかでは大きな違いです。
退職金の推移については、下記の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
退職金がない場合の老後資金の貯め方は、下記の4つです。
- 個人年金の利用
- 自宅の売却
- iDeCo
- 貯蓄型保険の利用
順番に見ていきましょう。
個人年金の利用
1つ目は、個人年金の利用です。個人年金には「定額タイプ」と「変動タイプ」に分かれており、それぞれ仕組みが異なります。
例えば「円建て個人年金」の特徴は、低いリスクで運用でき、月々支払う金額が同じなので、見通しを立てやすい点です。その一方、資産を増え方は小さく、インフレに弱いというデメリットもあります。
また「個人年金変動タイプ」の場合、リターンの期待度は高くなるのがポイントです。ただし、価格変動や為替リスクなども考慮しなければならないため注意しましょう。
自宅の売却
自宅の売却も、老後資金を貯めるのに効果的な方法です。
2024年現在、不動産の価値は高騰を続けています。不動産の価格が高くなっている要因は、人件費や建築資材の高騰・建築業界における人手不足、外国人による不動産買い占めなどさまざまです。
持ち家の方にとって「自宅売却」は、大きな決断となります。しかし、自宅を売却することで、まとまった資産が手に入ることになるのです。
手狭で、家賃の安い賃貸に住み替えることができれば、当面の老後資金を確保することができるでしょう。
iDeCo
iDeCoとは「個人型確定拠出年金制度」で、公的年金とは別に、老後資金を目的として給付を受けられる制度です。
ポイントは、60歳になるまで「解約」したり「お金を下ろす」ことはできないこと。したがって、強制的に老後資金を貯めることが可能です。
早い段階から準備しておくことで、60歳になったときに、まとまった「老後資金」を手にすることができます。
iDeCoについては、下記の記事からもチェックできますので、ぜひ参考にしてみてください。
貯蓄型の保険を利用する
貯蓄型保険とは、終身保険や学資保険といった「貯蓄性に優れた保険」を指します。
貯蓄型保険の大きな特徴は、貯蓄だけでなく、それぞれの保険に付随した「保障機能」も備わっていることです。
保険ごとに設定された内容(例えば「病気」「怪我」「死亡」など)に該当する際には、その時点で保険金の受け取りも可能。
また、何事もなく無事に満期を迎えた場合には「満期金」の受け取りができたり、万が一途中で解約しなければならないときにも「解約返戻金」が設定されているケースもあるためおすすめです。
老後資金がないときに使える制度
さまざまな理由から「どうしても生活費が足りない」「老後の生活が難しい」という事態に陥る可能性もゼロではありません。
そのような場合、利用できる制度はあるのでしょうか?
老後資金がないときに使える制度は、下記の3つです。
- 生活保護
- 年金の繰り上げ受給
- 生活困窮者自立支援制度
ひとつずつ確認していきましょう。
生活保護
1つ目は「生活保護」です。
生活保護とは「収入がない」もしくは「収入が少ない」人が、生活に困窮している場合に受けられる援助のこと。
生活保護を受けるためには、さまざまな条件があります。
- 国が定めている「最低生活費」を下回っている
- 持ち家や車といった資産を保有していない
- 怪我、または病気によって働くことができない
- 公的融資制度や公的扶助の対象外である
- 三親等以内の親族から支援を受けられないこと
自分が「生活保護受給」の対象になるかどうかは、福祉事務所に来訪し、生活保護についての相談をしましょう。
その後は、申請書を記入し、受給できるか否か判断されることとなります。
年金の繰り上げ受給
年金の繰り上げ受給も、老後資金の確保に有効な方法です。
そもそも年金は「65歳」から受け取り可能となっています。しかし、手続きを行うことによって、60歳から繰り上げて受け取ることもできるのです。
ただし、早い段階で受け取る分、本来65歳から貰える予定の金額よりも少なくなります。もらう時期が早いほど、月々の年金額は少なくなりますので注意しなければなりません。
また、年金額は「一生変わらない」点もポイントです。
年金の繰り上げ受給、繰り下げ受給についての詳細は、下記の記事でまとめています。
合わせてチェックしてみてください。
生活困窮者自立支援制度
生活困窮者自立支援制度とは、生活保護を受けておらず、生活が困窮している方を対象とした支援制度です。
少しでも生活が安定するよう、さまざまな方面で相談を受け付けて、支援をしてもらえます。
一言で「生活が苦しい」といっても、その状況は人それぞれ違ってきますよね。受けたい支援や困っていることなど、一人ひとりに寄り添った支援を提供してくれるのが特徴です。
例えば「離婚して、生活費が捻出できない」「子供が病気で、働きに出ることができない」「怪我で、仕事ができなくなってしまった」など、さまざまな悩みに対応してもらえるので、まずは相談してみるようにしましょう。
まとめ|退職金がない企業は多い!老後資金の準備は計画的に
本記事では、退職金がない企業の割合や退職金がない場合の老後資金の貯め方、老後資金がないときに利用できる制度について詳しく解説してきました。退職金がない場合には、早い段階から計画的に老後資金を準備しておくことが大切です。
また、退職金のない企業は、全体の25%にも及ぶことがわかりましたね。中小企業だけで見ると、3社に1社の割合で「退職金制度がない」という統計もあります。
老後の生活を大きく左右する退職金が受け取れない場合には、個人年金やiDeCo・貯蓄型保険などを活用して、老後資金を準備しておくようにしましょう。それでも足りない場合には、自宅の売却も視野に入れると良いかもしれません。
老後の生活が困窮した際には、生活保護や年金の繰り上げ受給・生活困窮者自立支援制度などの活用もおすすめです。生活困窮者自立支援制度は、一人ひとりに合った解決法を提案してもらえたり適切なアドバイスをもらえたりしますので、まずは相談してみましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです。