日常的に使っている言葉の中に「供養」があります。
何となくイメージはできますが、詳しい意味や供養の種類、目的などを知る機会は少ないかも知れません。
「供養には、どのような種類があるのだろう?」「供養をする対象について詳しく知りたい」という方も多いのではないでしょうか。
また、大切な人が亡くなってしまい「供養のタイミング」について悩んでいる方もいるかもしれません。
現在は、家族の一員とも言える「ペット」が天国に旅立ってしまった際にも「供養」を行う人が増えています。
そこで本記事では、供養とはどのような意味なのか?供養の種類や目的・対象やタイミングについて詳しく解説していきます。
「供養についての理解を深めたい」「ペットに対する供養について知りたい」とお考えの方の参考になると幸いです。
そもそも「供養」の意味とは?
そもそも「供養」にはどのような意味があるのでしょうか。
供養とは、故人やご先祖さまに対して食べ物や飲み物・好きだったものをお供えして冥福を祈ることです。
現代では「追善供養」が主流となっており、お線香を上げたり仏壇に手を合わせてロウソクを灯したりするのも追善供養のひとつ。
追善供養の意味は、亡くなった人の冥福を祈ると共に、死者の苦しみを取り除くというもの。
その「善い行い」が自分自身に返ってくると考えられています。
供養の目的
供養をする目的についても、しっかりと把握しておきたいところです。
供養の目的には、下記の2つのことが挙げられます。
- 「亡くなった」という事実を受け入れるため
- 故人への感謝を伝えるため
まずひとつ目が、故人が亡くなったことを遺族が正面から受け入れて、悲しみと向き合うことです。
大切な遺族がこの世を去ってしまったとき、深い喪失感に襲われ、現実を受け止められない場合も多いでしょう。
遺族にとって「日々の供養」は、少しずつ故人の死と向き合い、前に進んでいくために必要不可欠なものです。
2つ目は、故人への感謝の気持ちを伝えるため。心から冥福を祈り、魂を慰める目的もあります。
故人へ祈りを捧げる善行は、巡り巡って自分へと還ってくるものとされていますので、気持ちを落ち着かせながら現実と向き合う時間に充てることを心がけましょう。
供養の3つの種類
一言で「供養」といっても、その種類はさまざまです。
供養は、大きく分けると3つあります。
- 利供養(りくよう)
- 敬供養(きょうくよう)
- 行供養(ぎょうくよう)
ひとつずつ確認していきましょう。
利供養
普段私たちが行っている供養が、主に「利供養」と呼ばれているものです。
お花や食べ物を供えたりロウソクを灯したりします。
元来、利供養とは「香」「花」「蝋燭」「水」「飲食」の五供をお供えすること。
故人に対して、感謝の気持ちや真心を表す意味合いがあります。
故人が好物だったものを供えて、思い出話に花を咲かせるのも良いでしょう。
敬供養
敬供養とは、仏教を敬う供養を指しています。
敬供養とは主に「お墓参りに行くこと」や「仏壇に手を合わせること」また「僧侶に読経してもらうこと」です。
故人の命日や一周忌法要などで、執り行われる供養となります。
ただし、利供養と同様に「故人に感謝する気持ち」や「故人をしのぶ想い」は変わりません。
行供養
行供養とは、仏教の教えに基づき「修行」に励む行為を表したものです。
「仏教の教え」や「修行」と聞くと、非常に難しくて大変なイメージを持たれるかもしれませんが「人々や世の中のために善い行いをすること」とされています。
日々、善行を心がけて生活することで、仏教について理解していくことに繋がるのです。
供養の対象とは?
それでは、供養すべき対象は故人だけなのでしょうか。
ここからは、供養の対象となる人物や物などについて詳しく解説していきます。
- ご先祖さま
- 故人
- お墓
- 仏壇
- ペット
順番に見ていきましょう。
ご先祖さま
供養の対象となるのは、まず「ご先祖さま」です。
先祖供養は、毎日仏壇の前で手を合わせて感謝の気持ちを伝えたり、お盆やお彼岸などにはお墓参りをしたりします。
先祖供養には「成仏へと導いて、さまざまな苦しみから解き放つ」という意味も。
また、善行を心がけることで巡り巡って自分に回帰すると考えられていますので、遺された遺族にとっても重要な行いのひとつです。
先祖供養は、日本独自の供養観となっていることも覚えておきましょう。
故人
故人の供養は、初七日や四十九日法要・一周忌や三回忌などがあります。
それだけでなく、お盆やお彼岸などの供養も欠かせません。
また、故人の供養として忘れてはいけないのが「水子供養」です。死産や流産などによって、亡くなってしまった場合には、しっかりと供養しましょう。
お墓
供養とは、人に対するものだけではありません。
例えば、新しいお墓を建てたときに「開眼供養」を行うのが一般的です。
このとき、僧侶に読経してもらうことで、新しいお墓に故人の魂が宿ることとなります。
開眼供養は主に、四十九日法要や一周忌に執り行われることが多いもの。
また、墓じまいを行う際には「閉眼供養」が行われ、お墓に宿った魂を抜くこととなります。
開眼供養や閉眼供養では、僧侶に対して「お布施」を渡すのが一般的。
「お布施の相場が知りたい」「ルールやマナーは?」と疑問をお持ちの方は、下記の記事で詳しく解説しています。
ぜひ参考にしてみてください。
仏壇
お墓と同様に、仏壇を新しいものにした際には、開眼供養を行い故人の魂を入れることとなります。
仏壇の開眼供養も、初七日や四十九日法要などのタイミングで行われることが多いのがポイント。
お墓の開眼供養と合わせて行われることもあります。
仏壇の場合には「御本尊」または「位牌」が対象となることを覚えておきましょう。
ペット
ペットは大切な家族の一員ですよね。
現代では、人間と同じようにペットを供養するという考え方が浸透しています。
お墓も、ペットと一緒に入れるタイプもあり、非常に人気を集めているのが現状です。
ペットの供養には、明確な決まり事はないため、自由なカタチで思い思いの供養をしてあげることがおすすめ。
手元供養で、遺骨をアクセサリーに加工して身に付ける人も多くなっています。
供養をする3つのタイミング
供養を行うタイミングについても気になるところです。
それぞれのご家庭によって、故人を偲ぶ機会はさまざま。お盆やお彼岸だけでなく、毎日仏壇に手を合わせる方も多いでしょう。
供養が行われるタイミングとして代表的なものは、下記の3つです。
- 初七日
- 四十九日
- 一周忌
ひとつずつ確認していきましょう。
初七日
初七日とは、故人が亡くなった日から数えて7日目の法要です。
なぜ「7日目」なのかという理由は、亡くなった人が渡るとされている「三途の川」にたどり着くのが7日目とされているから。
故人が三途の川を無理なく渡れるように供養を行っているのです。
四十九日
四十九日法要も、代表的な供養のタイミングのひとつです。
四十九日にはどのような意味があるのでしょうか。
実は、四十九日は「初七日」と密接な関係があります。
7日目に三途の川にたどり着いた故人は、裁判が行われるとされており、その裁判によって「極楽浄土」に行けるかどうかが決定されるのです。
裁判が行われるのは7日ごととなっていて、7回目の裁判の結果で審判が下されるという経緯になっています。
それが、亡くなってから49日目。極楽浄土に行けるように、供養するのが習慣となっているのです。
四十九日法要の際に、納骨されることが多くなっています。
一周忌
一周忌は、命日から数えてちょうど1年目に執り行われる法要です。
近しい関係者だけではなく、遠い親戚や親しかった友人などを招いて焼香を行い、僧侶に読経してもらいます。
法要の後は、食事会などを開くケースが多く、個人との思い出に浸り家族の絆を深める時間となるでしょう。
まとめ|供養の種類を把握し故人の冥福を祈ろう
本記事では、供養の意味や目的・種類やタイミングについて詳しく解説してきました。
供養とは、亡くなった故人の冥福を祈ることはもちろん、悲しみに包まれている遺族の心を落ち着かせる目的もあることがわかりましたね。
また、供養の対象には「人」だけでなく、お墓や仏壇などの「物」もあることを忘れてはいけません。
開眼供養は、僧侶に読経してもらうことで故人の魂を宿らせる大切な法要です。
日々、仏壇に手を合わせて、故人に感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです。