近年、深刻な少子高齢化社会の加速や核家族化の影響、お墓に対する考え方の変化などによって「墓じまい」をする人が増加しています。
将来のため・子供たちのために、墓じまいを考え始めている方も多いのではないでしょうか。
「お墓が遠方にあるので、高齢になると行きたくても行けなくなってしまう」「できれば、自宅近くに移したい」という思いも芽生えてきますよね。
しかし、無許可で「墓じまい」や「改葬」を行うと、法律違反となってしまいます。
しっかりと行政手続きを踏んで、必要書類の記入や提出を行わなければなりません。
本記事では、墓じまいに関する法律で注意すべき点や、墓じまいをするのが望ましいケースや放置してしまうとどうなるかについて詳しく解説していきます。
墓じまいや改葬を無許可で行うのは法律違反になる
墓じまいに関する法律が気になりますよね。
何気なく進めてしまったことでも、もしかしたら罪に問われる可能性もあるので、事前に理解しておくようにしましょう。
墓じまいや改葬を、何の手続きもせず「無許可」で行うことは法律違反です。懲役や罰金刑が課せられることも。
改葬を行う場合には、必ず行政手続きを行うことが義務付けられています。
ご遺骨を新しい納骨先に移動したい時には「埋蔵証明書」「受入許可証」を準備し「改葬許可申請書」と合わせて、自治体に提出。
お墓を勝手に開けて、新しい納骨先に移動するなどの行為は罰せられることを覚えておきましょう。
また、近年増加傾向にある「散骨」にも、ルールやマナーがありますので注意しなければなりません。
海や山林に遺骨をまく「散骨」では、ご遺骨を「粉末状」にします。自分でできないこともありませんが、散骨業者に依頼するのがおすすめ。
何も知らない人が、遺骨を発見した場合には大きな事件になってしまいます。必ず粉末状にしましょう。
また、散骨は、自由にどこでもできるわけではありません。それぞれの自治体で、条例などを確認しながら行うことが大切です。
「わからないことが多くて不安」という場合には、専門家などに相談するのがおすすめ。下記の記事で詳しく解説していますので、チェックしてみてください。
墓じまい専門の代行業者に依頼するのも良いでしょう。
墓じまいをするのが望ましいケース
行政手続きをしっかりと行い、ルールを守って進めていく墓じまいには、大きな決断が必要となりますよね。
自分1人の気持ちだけでは、どうにもならない部分もありますし、いざ始めようと思うと寂しい気持ちも出てくるかもしれません。
「本当に墓じまいを進めて良いだろうか?」「親族の中には、墓じまいに納得していない者もいる…」など、さまざまな理由から、墓じまいに踏み切ることができない人も多いでしょう。
それでは、墓じまいした方が良いケースについて5つ紹介していきます。
- 高齢になり、お墓に行くのが困難
- お墓の維持費や管理費などが負担
- 引っ越したため、お墓が遠方になってしまった
- 後継者がいない
- 子供や孫に迷惑(負担)をかけたくない
ひとつずつ確認していきましょう。
高齢でお墓参りに行くのが困難
墓じまいをするのが望ましいケース1つ目が、高齢になり、お墓参りに行くのが困難になってきた場合です。
高齢になると「お墓参りをしたい」という気持ちが大きくても、身体が思うように動かないこともあり、介助がなければ外出もできないという状態になることは珍しくありません。
また、病気がちになり、入退院を繰り返すことも。
お墓の管理は、思った以上に体力を使います。雑草取りや水汲みなど、高齢者には難しいことも多いでしょう。
自分の体力に限界を感じ、お墓参りに行くことが難しいと感じたときには、墓じまいを検討するタイミングかもしれません。
お墓の維持費・管理費が負担
お墓の維持費や管理費、お墓参りの際の交通費やお布施の費用などを合わせると、かなりの出費になります。
お墓の管理だけであれば、それほど大きな額ではありませんが、僧侶へのお布施やお墓参りの度に交通費がかかる場合はかなりの痛手です。
働いていた頃とは違って、高齢になると「限られた収入」「限られた預金」から、すべての費用を捻出する必要があります。
お墓の維持費・管理費などが負担になったときには、墓じまいを視野に入れましょう。
引っ越しでお墓が遠方になった
引っ越しでお墓が遠方になってしまったときに、墓じまいを考えるきっかけになるケースもあります。
物理的にお墓との距離ができてしまったことで、簡単に足を運ぶことができなくなってしまうのです。
定期的に掃除ができれば問題ありませんが、往復の交通費を考えると、頻繁に行くのも難しいでしょう。放置する期間が長くなると、お墓が荒れてしまいます。
また、自分たちは引っ越していない場合でも、子供が社会人になり都会で就職することはよくありますよね。
お盆には親族皆でお墓参りをするのが恒例だというご家庭では、仕事の都合や費用の面から考えても、集まることが困難になっていきます。
引っ越しや子供の新たな生活を機に、簡単にお墓参りに行けなくなったときには、墓じまいについて考えてみると良いでしょう。
後継者がいない
「墓じまいをしたい」という思いがなくても、墓じまいをした方が良いケースもあります。
それが「後継者がいない」という場合です。
後を引き継いでくれる子供が居ない時や、親族の中にも管理してくれる人物が見つからない際には、墓じまいを検討しましょう。
もしも自分に何かあった場合には、無縁仏となってしまいます。後継者が居ない時には、元気なうちに墓じまいをしておくのが安心です。
子供や孫の代に負担をかけたくない
昔の日本では、子供がお墓を継ぐことが当然のことで「迷惑を掛ける」「負担になったら申し訳ない」という思いはありませんでした。
しかし現在は、時代や考え方も変わり、子供のためを思って墓じまいする人も多いのが現状です。
自分がお墓を任されて、大変だったという思いが強い方ほど、子供や孫の代には同じ思いをしてほしくないと思っています。
ただし、お墓の管理をしてこなかった親族からは、墓じまいについて反対されるケースも。
自分が継承者であっても、皆が納得していない状況で進めてしまうと、トラブルに発展することもあります。
事前に親族に相談して、気持ちを伝えるようにしましょう。
墓じまいせずに放置し続けるとどうなるの?
万が一、墓じまいをせずにそのまま放置した場合は、どうなってしまうのでしょうか。
お墓には、毎年「管理費」が発生しており、一定期間支払いが滞ると「お墓が撤去」されてしまう可能性もあるので要注意です。
もちろん、すぐに撤去されるわけではありません。(※霊園によっては、撤去されない場合もある)
- 「管理費を支払ってください」という内容の督促状が届く
- 官報に氏名が掲載され、使用者確認の告知を受ける
- 告知を受けた後も、対応を怠っていると撤去となる
- ご遺骨が取り出され「合祀」される(他の方のご遺骨と一緒になる)
- 更地にされた後、新たな募集がスタートする
また、管理費の滞納が続くと、訴えられる可能性もあるので注意しなければなりません。
合祀となった場合、後から遺骨を取り戻したいと思っても、二度と返ってくることはありません。
お墓を放置しないよう、十分に注意を払い、管理が難しくなったときには墓じまいを検討するようにしましょう。
まとめ|墓じまいは法律やルールを守って進めていこう
本記事では、墓じまいで法律違反になる事例や墓じまいが望ましいケース、お墓を放置し続けるとどうなるのかについて詳しく解説してきました。
墓じまいを行うときには、行政手続きを行うことが義務付けられています。散骨する際にも、ルールやマナーをしっかり守ることが大切でしたね。
「墓じまいは、行政手続きもあって難しそう」という思いから、なかなか一歩踏み出せない場合には、今回紹介した「墓じまいが望ましいケース」を参考にしてみてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです。