深刻な少子高齢化や時代の変化とともに、注目を集めているのが「墓じまい」です。
「子供に負担をかけたくない」「お墓を守ってくれる後継ぎがいない」などの理由から、墓じまいを検討する人も増えてきました。
しかし「本当に墓じまいをして良いものだろうか?」「後悔しているという話も耳にする」という方も多いはずです。
事前に注意点を知っておくと安心ですよね。
そこで本記事では、墓じまいの意味や、気を付けなければならない5つの注意点について詳しく解説していきます。
墓じまいの注意点を理解し、トラブルのないよう進めていきましょう。
墓じまいの意味とは?
そもそも「墓じまい」とは、墓石を撤去して更地にし、使用権を墓地の管理者に返還することです。お墓での供養を終わらせるのが「墓じまい」となります。
墓じまいと混同しやすい言葉が「改葬」です。改葬は、墓石からご遺骨を取り出し、新しい納骨先に引っ越すこと。取り出したご遺骨を、納骨堂や海洋散骨・樹木葬などに移します。
かつての日本では、お墓を代々受け継いでいくのが当然のことでした。
しかし、少子化に拍車がかかり、墓を受け継いでくれる後継者がいないという悩みも珍しくありません。
それだけでなく「お墓が遠方にあるので交通費も馬鹿にならない」「子供に負担をかけるのは申し訳ない」といった理由から、墓じまいを検討する人も増えています。
墓じまいの件数は年々増加の一途をたどっており、2014年には「約8万件」でしたが、2022年には「15万1076件」にまで急増。
時代の流れとともに、お墓に対する価値観が変化したことや、さまざまな供養方法を選択できるようになったことも大きな要因のひとつ。コロナ禍による「外出自粛」も大きく影響しているでしょう。
墓じまいの手順や方法につきましては、下記の記事で詳しく解説しています。
墓じまいにおける5つの注意点
墓じまいを検討している方の中には、注意点を知っておきたいという方も多いはずです。
後悔しない「墓じまい」を行うために、事前に気をつけておきたいポイントを5つ紹介していきます。
- 本当に墓じまいをすべきか?話し合いを重ねる
- おおよその見積もりを取っておく
- 早めに行政手続きを済ませておく
- 改葬許可申請書は自分で記入しなければならない
- 不安やトラブルがある場合には専門家へ相談する
それではひとつずつ確認していきましょう。
本当に墓じまいをすべきか話し合いを重ねる
墓じまいは、自分の気持ちだけで進めるものではありません。
家族や親族の同意がないまま進めてしまうと、大きなトラブルへと発展してしまう可能性も、十分に考えられます。
また、それぞれに故人やお墓に対する想いがあるため、本当に今「墓じまい」をすべきなのか話し合いを重ねることが重要です。
親族の中には「もう少し先でも良いのではないか」「お墓がなくなってしまうのは精神的に辛い」という方もいるかもしれません。
墓じまいは、費用の分担や新しい納骨先の決定など、さまざまなことを決定していきます。
皆が納得し、前向きに墓じまいを進められるまで、話し合いを重ねていきましょう。
事前に費用を把握するため見積もりを取っておく
一言で「墓じまい」といっても、かなりまとまった費用がかかります。
墓石の解体や新しい納骨先でかかる費用、離檀料などが必要になることも。
また墓石の解体・撤去工事後に、石材店から高額の費用を請求されるケースも少なくありません。
1社に絞らず、いくつかの石材店などで事前に見積もりを取っておくようにしましょう。
大まかな費用を把握しておけば、いざという時にもスムーズに対処できます。
早めに行政手続きを済ませておく
行政手続きは、必ず「撤去・解体工事前」に済ませておくようにしましょう。
墓じまいには「埋蔵証明書」「受入証明書(永代供養証明書)」「改葬許可申請書」などの書類が必要となります。
手続きを終わらせておかなければ、墓じまい当日にご遺骨を取り出すことができません。
余裕を持って、早めに準備しておくようにしましょう。
改葬許可申請書は自分で記入しなければならない
改葬許可申請書とは、ご遺骨の引っ越しをする際に欠かすことのできない書類です。
ご遺骨1つに対して、1枚ずつ申請書が必要となります。
事前に、墓石の内部調査をしておくと安心ですね。
改葬許可申請書は、申請を行う「本人」が記入することが義務付けられています。何らかの事情で、どうしても本人が記入できない場合は、代理人を立てなければならないため早めに確認しておきましょう。
不安やトラブルがある場合には専門家に相談するのがおすすめ
墓じまいに関して、不安やトラブルがある場合には、専門家に相談するのがおすすめです。
石材店との費用交渉や寺院への説明、行政手続きや新しい納骨先の決定など、本当に「やるべき事」がたくさんあります。
墓じまいをスムーズなものにし負担を軽くするためにも、専門家への依頼を検討してみると良いでしょう。
墓じまいに関する相談先や代行業者に関しては、下記の記事で詳しく解説しています。
墓じまいのメリット
墓じまいのメリットには、どのようなことがあるのでしょうか。
- 継承者(子供など)に負担をかけずに済む
- お墓を維持する費用の負担軽減
- 新しい納骨先によっては、お墓参りがしやすくなる
墓じまいのメリットには、上記の3つが挙げられます。
1つ目は、子供に負担をかけずに済むこと。金銭的な負担はもちろんですが、お墓をめぐってのトラブルも未然に防ぐことができます。
特に、継承者が遠方に住んでいるときには、お墓を管理するのに「時間」も「お金」も必要です。
墓じまいを行えば、そのような負担もかけずに済むでしょう。
2つ目のメリットは、今まで掛かっていた「管理費」や「維持費」の負担を軽減できること。
永代供養を選択すれば、檀家料の支払いはなくなります。
また、今までは「お墓が遠方にあるので、なかなかお参りに行けなかった」「交通の便が悪いので、思うようにお墓参りに行けない」といった悩みもあったかもしれません。
しかし、新しい納骨先を自宅近くにすることで、いつでも気軽に手を合わせに行ける点も、大きなメリットと言えるでしょう。
墓じまいのデメリット
それでは、墓じまいのデメリットにはどのようなことがあるのでしょう。
- まとまった費用がかかる
- 離檀料を巡ってトラブルになる可能性も
墓じまいのデメリット1つ目は、まとまった費用が必要になることです。
墓じまいにかかる費用の総額は、おおよそ「30万円~300万円前後」になります。
これは「墓石の撤去・解体費用」「行政手続き費用」「新しい納骨先の費用」を合わせた金額。
お布施や離檀料・新たな納骨先でかかる費用がそれぞれ異なるため、大きな開きがあります。
どちらにしてもまとまった金額が必要となるため、準備しておくようにしましょう。
また、離檀料で揉めるケースも少なくありません。
お寺としては、檀家がいなくなってしまうと「収入」が減ってしまいます。自分たちの生活が懸かっているため、中には法外な「離檀料」を請求してくる場合も。
お寺とのトラブルに発展しないよう、事情をしっかりと説明し、感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。
まとめ|墓じまいの注意点を確認し未然にトラブルを防ごう
本記事では、墓じまいの意味や注意点、メリット・デメリットについて詳しく解説してきました。
墓じまいを行う際には、さまざまな注意点がありましたね。
親族との話し合いはもちろんのこと、行政手続きもしっかりとチェックしておかなければなりません。
また、墓じまいに不安を感じた場合には、専門家に相談するのも一つの方法です。負担も軽減できますし、スムーズに進めていくことができるでしょう。
注意点やメリット・デメリットを把握しておくことで、トラブルを防ぐことにもつながります。
最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです。