「遺言書の作成は難しいの?」
「正しい形式で書かないと、無効になるって本当?」
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
遺言書は、正しい形式を守って書かなければ、法的効力はなくなってしまいます。
しかし、正しい形式がわからず悩んでいる方もいるはずです。
そこで本記事では、遺言書の正しい書き方やポイント・文例を紹介していきます。
また、無効となってしまうケースについても併せて解説していきますので、これから遺言書の作成を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
遺言書とは?
そもそも「遺言書」とは、どのようなものなのでしょうか。
遺言書は、民法で定められた形式に従って作成する文書となっており、法的効力を持ちます。
自分が亡くなったあと、保有していた財産をどのように処分するのかについて、あらかじめ書面として残しておくのです。
自分の意向を確実に残せるだけでなく、相続トラブルに発展することを防ぐ目的で作成されます。
主な遺言書は下記の3種類です。
- 自筆証書遺言書
- 公正証書遺言
- 秘密証書遺言
中でも「公正証書遺言」は、もっとも安全な方法と言われています。なぜなら、公証人によって作成されるため、形式的な問題で「無効」となるリスクが非常に低いためです。
ただし、公正証書遺言の作成には費用がかかってしまいます。費用に関しては、財産の規模や遺言書に記載する内容によって異なるのが一般的。
自筆証書遺言書であれば、自分で作成することが可能ですし、費用も必要ありません。
その一方、専門家のアドバイスが受けられないため、無効となる可能性も。それだけでなく、紛失の恐れや隠されてしまうといったリスクもあります。
また、形式的な要件が厳しいので、最新の注意を払って作成することがポイントです。
遺言書の正しい書き方とは?
法的な効力を持つ遺言書を作成するためには、決められた形式に沿って、正しい情報を記載しなければなりません。
自筆証書遺言書は、下記の5つのルールを守って書く必要があります。
- 全文を自筆で書く
- 署名をする
- 作成日時を明記する
- 必ず印鑑を押す
- 訂正部分は二重線と印鑑を忘れない
自筆証書遺言書は、上記5つのルールに沿って作成します。順番に確認していきましょう。
全文を自筆で書く
自筆証書遺言書は、自筆で書かなければなりません。本文はもちろんのこと、タイトルや住所・生年月日なども自筆で書きましょう。
パソコンやワープロを使用するのはNG。
信頼できる人などに代筆してもらうことなども認められていませんので、注意が必要です。
ただし「財産目録」に関しては、例外となります。財産目録の部分は、自筆でなくても問題ありません。
パソコンで記入しても構いませんし、通帳などのコピーを取って貼り付けることも可能です。
署名をする
自筆証書遺言書では、必ず署名を行います。
次の章で紹介する「自筆証書遺言書の文例」をチェックするとわかりますが、署名を行う箇所はいくつかありますので要注意。
記入漏れのないようにしましょう。
作成日時を明記する
遺言書の作成日を記入します。
忘れがちになるのが「年度」です。もしも年度を書き忘れてしまった場合は、その自筆証書遺言書は法的な効力を発揮することができません。
必ず、年度と日付の書き忘れがないか確認しましょう。
印鑑を押す
自筆証書遺言書には、必ず押印する必要があります。
形式ばかりを意識してしまい、押印を忘れてしまう可能性も。印鑑のない遺言書は、もちろん無効です。
また、消えている部分や欠けている部分がある場合にも、無効となるケースがあります。
印鑑の種類においてのルールはありませんが、信用性を高めるために、実印を使用するのがおすすめです。
訂正部分は二重線と印鑑を忘れない
訂正方法にも、法律によって細かなルールが定められています。
訂正する文字に二重線を引き、訂正後の文字を記入。訂正部分には、遺言書で使用したものと同じ印鑑を使って押印しましょう。
訂正のルールが守られていない際にも、遺言書は無効となるため、十分に注意しなければなりません。
自筆証書遺言書の文例
それぞれのご家庭によって、家族構成が異なるのはもちろん、相続させたい相手も違ってきますよね。
ここでは、下記の3つのパターンについての文例を紹介します。
- 子どもがおらず、配偶者にすべての財産を相続させたいケース
- 2人の子どもに、それぞれ決まった財産を相続させたいケース
- 特定の団体に財産を寄付したいケース
ひとつずつ、文例を確認していきましょう。
子供がおらず、配偶者にすべての財産を相続させたい
子どもがいない場合は、遺言書を遺さなくても、すべての財産が配偶者に渡ると考えている方もいるかもしれません。
しかし、子どもがいなくても、遺言者の両親が健在であれば法定相続人となります。
もし、配偶者だけに相続させたい場合には、下記のような遺言書を作成しましょう。
2人の子どもに、それぞれ決まった財産を相続させたい
法定相続人が「子ども2人」の場合。
どちらか一方に、少し多く財産を遺してあげたいと考える方もいるかもしれません。
例えば「ずっと同居して、面倒をみてくれた」「介護が必要になってから、サポートしてもらった」など、感謝の気持ちを遺産で伝えたいこともあるでしょう。
特定の団体に財産を寄付したい
独り身で法定相続人がいない場合や、法定相続人がいても、相続させたくないというケースもあるかもしれません。
特定の団体に財産を寄付したいという際には、下記のような遺言書を作成しましょう。(※例として「日本赤十字社」に寄付したいケースの文例です)
まとめ|遺言書は形式を守って慎重に作成しよう
本記事では、そもそも遺言書とはどのようなものなのか?正しい書き方やケース別の文例について詳しく解説してきました。
法的に効力を発揮する遺言書を作成するためには、正しい書き方を理解しておく必要があります。
全文を自筆で書くことはもちろん、年度の書き忘れや印鑑の押し忘れなどがないように気をつけましょう。
また、訂正部分のルールも、しっかりと守らなければなりません。
今回紹介した文例を参考に、自筆証書遺言書を作成してみてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです。