親の終活を検討し始めたときに、真っ先に気になるのが「何を準備すればよいか」ということです。
近年、終活を始める人が急激に増加し、テレビや雑誌などでも大きく取り上げられていますよね。
しかし、終活について何となく理解しているつもりでも、実際に始めようとすると次々に疑問点が浮かんでくるものです。特に「親の終活」となると、サポート的な役割となるため対応に悩んでしまうことも。
終活は、これからの人生をさらに充実したものにするために欠かせない活動のひとつ。
「しっかりと準備をしてもらいたい」という方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、なぜ終活を行う必要があるのか?親の終活で家族が準備しておくことなどについて詳しく解説していきます。
これから終活に取り組もうとしている方の参考になると幸いです。
そもそも何故終活を行う必要があるの?
近年、これほど終活について大きく取り上げられていますが、なぜ終活が必要なのでしょうか。
ここでは、終活をすべき理由について6つ紹介していきます。
- 深刻な高齢化社会の加速
- 核家族化・一人暮らしの増加
- 物価の上昇
- 認知症患者の増加
- 相続を巡るトラブル
- より良い老後にしたいという意識の高まり
ひとつずつ解説していきます。
深刻な高齢化社会の加速
ひとつ目の理由は、深刻な高齢者社会の加速です。
日本では年々平均寿命も延びており、世界でもトップレベルの長寿国。女性は「87.74歳」で世界1位、男性は「81.64歳」で2位となっています。
長生きするということは、老後にかかる費用が大きくなるということ。
生活費がかかるのはもちろん、年齢を重ねるごとに「健康面の不安」や「介護の心配」も増えてきます。
そのため、しっかりと終活をし「老後の準備」をする必要があるのです。
核家族化・一人暮らしの増加
2つ目の理由は「核家族化・一人暮らしの増加」です。
以前の日本では、子供が親の面倒を見ることが一般的な時代がありました。
しかし現在は「高齢者住宅」「介護施設」などを、街の至る所で見かけます。
これは、一人暮らしの高齢者が増加した結果です。
少子化の影響もあり、子供を持たない家族も多いはず。万が一、病気になったり認知症を発症したりしても、面倒をみてくれる子供がいないのです。
終活を行っていなければ、もしもの時でも「かかりつけ医」で診てもらうこともできません。
また、老後にかかる費用を把握していなかったことによって、希望の施設に入ることができない可能性も高まります。
一人暮らしでも、安心して充実した暮らしができるよう、生前に準備をしておくのがおすすめです。
物価の上昇
物価の上昇も、終活をすべき理由のひとつ。
終活を行っていなかった場合でも、老後に必要となる「おおまかな費用」をイメージしていた人は多いはずです。
しかし、度重なる物価の上昇によって、生活が困窮する可能性も。
高齢者になったときの収入源は「年金のみ」という方が大半を占めているはず。
物価の上昇に合わせて年金も上昇すれば問題ありませんが、年金支給額は変わりません。
早い段階から終活を行うことで、生活の見直しや資産運用・保険の見直しなどで、物価上昇にも対応できるでしょう。
認知症患者の増加
高齢化に伴い、認知症の患者が増加している点も、終活を行うべき理由のひとつです。
2025年には、65歳以上の認知症患者の割合が「5.4人に1人」にまで増加すると予想されています。
認知症は決して他人事ではないのです。
認知症を発症してしまうと、お金の管理ができなくなるだけでなく、さまざまな意思決定が不可能に。
最悪の場合、銀行口座が凍結されてしまうなどの恐れもあります。
終活の際に「成年後見制度」などを利用するなどの対策をとっておくと安心です。
相続を巡るトラブル
終活を行うことは、自分自身のためだけではありません。
遺された家族が幸せに暮らせるための活動でもあるのです。
終活を行わず、遺言書の作成をしていなかった場合、親族間で相続を巡るトラブルに発展してしまう可能性が高まります。
遺言書の作成には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があり、自筆証書遺言だと1通3,900円、公正証書遺言の場合には3万円~5万円程度の手数料が必要です。
ただし自筆証書遺言は、法律で定められた形式を採用できなかった際に無効となってしまいますので、十分に注意しなければなりません。
より良い老後にしたいという意識の高まり
近年は長寿化の影響もあり、多くの人が「第二の人生を楽しみたい」「充実した老後を過ごしたい」という意識が非常に高くなりました。
そのために必要となるのが「終活」です。
終活では主に、下記のような活動を行うのが一般的。
- 老後に挑戦したいことをリストアップする
- エンディングノート作成
- 断捨離
- 資産の整理や確認
- 遺言書の作成
- 葬儀やお墓の準備
新たな目標を持つことで生き甲斐が生まれ、気持ちも前向きになります。
自分の出来ることから無理なく始められるのも、終活の大きな魅力。
「やることリスト」についての詳細は、下記の記事で詳しく解説しています。ぜひチェックしてみてくださいね。
親の終活で家族が準備しておくべきこと
親の終活で、家族が準備しておくことにはどのようなことがあるのでしょうか。
終活を行う人が多くなったとはいえ、中には「必要ない」と考えている高齢者が多いのも事実。
家族のサポートによって、終活の大切さに気付くこともあります。
親の健康状態や体調・年齢などによっても異なりますので、それぞれのご家庭に合ったものを準備してくださいね。
- エンディングノートや遺言書の作成のサポート
- 断捨離を手伝う
- 資産の確認
- 介護やお墓の希望を確認しておく
- 友人や知人のリストを作ってもらう
順番に見ていきましょう。
エンディングノートや遺言書の作成をサポート
親の終活準備では、終活の代表的な存在ともいえる「エンディングノート」の作成を手伝うことからはじめましょう。
親御さんの年齢や健康状態にもよりますが「エンディングノート」と聞いても、ピンと来ないかもしれません。
「どんな老後を過ごしたいか」「これから挑戦したいことや、やり残したことはないか」など、時間をかけて書き出しながら、一緒にエンディングノートを完成させましょう。
始めは乗り気じゃなかった親御さんも、明るい未来が想像できれば、終活に積極的に取り組めるかもしれません。
断捨離を手伝う
断捨離なサポートも重要です。
自分1人で断捨離を行うのは、年齢的にも体力的にも難しいのが現実。
快適な老後を送るためにも、不要なものを処分しておくことは大切です。
また、親御さんにもしものことがあった場合、断捨離を行っていなければ遺品整理に多くの時間と労力・費用がかかってしまいます。
親が元気なうちに「必要なもの」「要らないもの」を一緒に確認しながら、少しずつ整理していくのがおすすめです。
資産の確認
資産の確認や財産の整理も、終活において重要な活動のひとつ。
万が一、親が認知症を発症してしまったら、資産の全体像を把握することが難しくなります。
今後必要になる「医療費」や「介護費用」に充てるためにも、預貯金の額や不動産などの確認は非常に大切です。
いざという時のために、金融機関に対して「代理人届出」の提出も視野に入れておきましょう。
介護やお墓の希望を確認しておく
親に十分な資産がない場合には、自分の中で希望があっても、子供には言い出せないというケースも少なくありません。
これは「子供に負担をかけられない」「迷惑をかけるくらいなら終活をする必要はない」という想いからです。
しかし、親の希望を叶えてあげたいと考える子供が多いのも事実。親孝行の一環として、介護やお墓の希望を確認しておきましょう。
その際に「どのような介護施設があるか」「お墓(供養方法)の種類は、どのようなものがあるのか」などについても伝えてあげるのがポイントです。
お墓の詳細については、下記の記事で詳しく解説しています。
友人や知人のリストを作ってもらう
もしもの時に備えて、事前に友人・知人のリストを作成してもらうことも忘れては行けません。
親御さんにも、家族が把握できていない友人関係やお世話になった知人がいるはずです。
自分に万が一のことがあった場合、知らせてほしい人のリストがあると、家族もスムーズに対応することができるでしょう。
親の終活をサポートするときの注意点
それでは、親の終活をサポートする上で気をつけるべき注意点はどのようなことでしょう。
まず1つ目が「無理強いをしない」ことです。
終活に「マイナスなイメージ」を持つ親御さんも少なくありません。
親が充実した老後を送るため、より素敵な人生にするために提案したとしても、本人にとってはストレスになる可能性もあります。
無理にやらせるのは逆効果となり、親子関係が悪化してしまうことも考えられるため、時間をかけて話し合うようにしましょう。
2つ目は「家族が勝手に進めない」こと。
例えば、親が終活を始めないからと言って、勝手に不用品を処分したり介護施設を決めたりするのはNGです。
親御さんにとっては、とても思い入れのある大切な品物である場合もありますし、介護施設に入る意思がない可能性も。
本来「終活」は、自分の意思で行うものであり、強制されるべきではないのです。
「親のために」という気持ちはわかりますが、お互いが納得して、一緒に進めていかなければ意味がありません。
親の気持ちを尊重しながら、ゆっくり取り組んでいきましょう。
まとめ|親の終活は早めの準備が大切!余裕を持ってサポートしよう
本記事では、なぜ終活が必要なのか、親の終活で家族が準備すべきことや注意点について詳しく解説してきました。
終活は、決して「誰か1人のため」の活動ではありません。
本人はもちろん、遺された家族にとっても非常に重要なものとなります。
親の終活をサポートし、お互いが納得した形で時間をかけて進めていくのがおすすめです。
親御さんの意見を尊重しながら、前向きな気持ちで一緒に終活に取り組むようにしましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです。